カテゴリー「無届医業類似行為」の記事

医事発第2 4 2 号無免許あん摩の取締等について

関係法規

医事発第2 4 2 号

昭和37年12月27日

各都道府県衛生部長殿

厚生省医務局医事課長

無免許あん摩の取締等について

無免許あん摩の取締については、かねてから御配意いただいているところであるが、各位のご努カにもかかわらず、依然として無免許行為はその跡をたたず各方面でしばし ば問題化しているので、従前の諸通達にのっとるほか下記により重ねて努力されるよう お願いする。

また、医業類似業者のあん摩師への転業を促進するための指定講習会の開催についても、引き続きよろしくお願いする。

                                                   記

1.最近、旅館等に対する出張施術の無免許者が増加しているきざしがあるが、旅館業監督部局との連絡を密にし、違反行為の防止についての旅館業者の協力を求められたいこと。この際あん摩師業界の協力を得て、各旅館に有資格者名簿を配布し、具体的な協力を依頼されることも効果的であること。

2.衛生当局としては、有資格者に対する行政監督をすることをもって取締りの重点とすべきであり、無資格者に違反行為を行わせている有資格者については、適時適当な行政処分をされたいこと。

3.有資格者の関与しない無資格者の違反行為の取締りについては、関係業界の協力を得て警察の取締りに協力されたいこと。なお、違反行為を摘発するに際しては、あらかじめ警察当局と連絡をされたいこと。(別添告発書の形式参照)

4.無免許あん摩の取締実績(関係行政処分を含む)であって、参考と思われる実例のあるときは、今後適時お知らせ願いたいこと。なお、昭和37年1月以降12月末日までの行政処分の実施状況及び警察の取締り状況で判明しているものについては、昭和38年1月20日までにお知らせ願いたいこと。(様式は、適宜とする。既に報告された部分又は実施のない個所はその旨記載すること。)

告発書様式

発第号昭和年月日

○○県○○課勤務

○○ ○○ ○○警察署長

司法警察員警視(正)○○○○殿

告発書

左記の者について、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法違反があると認められるから、関係書類を添えて告発する。

1.被告発者

本籍

住居

職業

氏名

生年月日

2.告発事実(原則の内容にしたがい、なるべく具体的に記載すること。)

3.適用法案

4.証拠物件

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現行犯の私人逮捕

刑事訴訟法・私人逮捕の条文

第212条

 第一項: 現に罪を行い、又は罪を行い終わった者を現行犯人とする。
 第二項: 左の各号にあたる者が、罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。
    1.犯人として追呼されているとき。
    2.贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。 
    3.身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
    4.誰何(すいか)されて逃走しようとするとき。

同法213条

現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することが出来る。

同法214条

検察官、検察事務官及ぶ司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁もしくは区検察庁又は司法警察職員に引き渡さなければならない。

同法215条

第一項: 司法巡査は、現行犯人を受け取ったときは、速やかにこれを司法警察職員に引致しなければならない。
第二項: 司法巡査は、犯人を受け取った場合には、逮捕者の氏名、住居及び逮捕の事由を聞き取らなければならない。必要があるときは、逮捕者に対しともに官公署に行くことを求めることが出来る。

同法216条

        現行犯人が逮捕された場合には、第百九十九条の規定により被疑者が逮捕された場合に関する規定 を準用する。

同法217条

30万円以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の現行犯については、犯人の住居もしくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、第213条から前条までの規定を適用する。

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無免許マッサージ・指圧の取締りについて通達

○免許を受けないであん摩、マッサージ又は指圧を業とする者の取締りについて
(昭和三九年一一月一八日)
(医発第一三七九号)
(各都道府県知事あて厚生省医務局長通知)
免許を受けないで、あん摩、マッサージ又は指圧を業とする者の取締りについては、従来、通知したところにしたがって御配意をわずらわしているところであり、さらに本年九月二十八日本職名をもって、「あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律等について」通知した中でも、視覚障害者であるあん摩マッサージ指圧師の職域を確保するという観点から一層意を用いられたい旨要望したところである。視覚障害者であるあん摩マッサージ指圧師がかねてよりこの業務における職域の確保をつよく主張した理由の一つに免許を受けないあん摩、マッサージ又は指圧を業とする者の増加があることは明らかである。今般改正されたあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)によって、視覚障害者のこの業における職域確保の実現をみたが、この措置を効果あらしめるためにも、さらに左記の方針にしたがい引きつづき免許をうけないでこの業務を行なうものの取締りを強化されたく、重ねて通知する。
1 免許を受けないであん摩マッサージ又は指圧を業とする者がその業務を行なうことの多い旅館等については、その地域の免許を有するあん摩マッサージ指圧師の名簿を配布させる等の方法を講じ免許を受けない者の排除について周知をはかり協力を求めること。
2 施術所を開設している者については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に関する法律施行規則(以下「施行規則」という)第二十四条の規定により届け出られた施術者の氏名を確認し、免許を受けないで業務に従事する者のないように警告するとともに、これらの者に違反行為を行なわせている者であって免許を受けている者に対しては適時適当な行政処分を行なうこと。もっぱら出張によって業務を行なう者についてもこれに準じて扱うこと。
3 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師又は柔道整復師を養成する学校又は養成所に在学する者の実習については、昭和三十八年一月九日本職通知「あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師の学校又は養成所に在学している者の実習等の取り扱いについて」に示したとおり行なわせるようにし、これらの者が、その限度をこえて違法行為にわたることのないよう指導されたいこと。
4 前記1ないし3とは別に免許を受けた者とは直接関係なしに免許を受けないでこれらの業を行なう者については、関係業界の協力を得て、その発見につとめること。
5 前記1ないし4によって把握された違法行為を行なう者についての取締りについては、警察に協力するとともに、その告発については、昭和三十七年十二月二十七日、医務局医事課長発各都道府県衛生部長宛通知「無免許あん摩の取締等について」によられたいこと。

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いわゆる無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決について昭和三五年四月一三日三五医第一六号.医発第四六七号

○いわゆる無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決について

(昭和三五年四月一三日)
(三五医第一六号)
(厚生省医務局長あて長崎県衛生部長照会)
医発第二四七号をもって通知がありました標記について更に疑義を生じましたので左記事項につき御教示承りたく照会いたします。
(1) 法第一条あんまのうちには指圧も含まれており無資格者がその行為を行えば当然取締りの対象となるものであるが、しかしいわゆる医業類似行為業のうち手技に指圧が含まれているとすれば、その指圧療法が無害であれば取締の対象とならないと思う如何にすべきか。
(2) 法第十九条第一項に規定する届出医業類似行為業者についての当該事務に関する取扱いは従来どおりとされているが無届者がHS式等同一器具を用い営業を行う場合は法の対象外となり法第十九条第二~三項(医師法違反以外)についてもその対象とならず矛盾している。如何にすべきか。
予想される現象として、届出済の者で取締の対象から逃れるため、廃業届をする者が出てくると思われる。その結果は全くの野放し状態になるが、立法の主旨から考えて好ましいこととは思われない。
(昭和三五年六月一三日医発第四六七号)
(長崎県知事あて厚生省医務局長回答)
昭和三十五年四月十三日三五医第一六号をもって貴県衛生部長から照会のあった標記について、左記のとおり回答する。
1 昭和三十五年一月二十七日の最高裁判所の判決は、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法(以下「法」という。)第十二条に規定する医業類似行為に関するものであり、法第一条に掲げる指圧を含むあん摩等は、判断の対象になっていないのであって、昭和三十五年三月三十日医発第二四七号の一本職通知第一項にいう手技にも指圧は含まれていないものである。
従って、あん摩師免許をもたず、かつ、届出により暫定的に指圧を行なうことを認められている者でない療術者が、客観的に指圧に該当する施術を業として行うのであれば、その事実をもって法第一条違反として、法第十四条第一号の規定により処罰の対象になるものと了解されたい。
2 法第十九条第一項の規定による届出の効果は、法第十二条の禁止規定にかかわらず、届出に係る医業類似行為を業として行なうことができることであり、法第十九条第二項及び第三項は、それに附随する規制であると解して取り扱われたい。
なお、HS式療法が無害であるとして本件報告が無罪となったものでないので、念のため申し添える。

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無資格者によるあん摩マッサージ指圧業等の防止について 厚生労働省医政局医事課

無資格者によるあん摩マッサージ指圧業等の防止について

医師以外の方が、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復の施術所等において、あん摩、マッサージ若しくは指圧、はり又はきゅう及び柔道整復を業として行おうとする場合には、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和22年法律第217号)において、それぞれ、あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許又はきゅう師免許を、柔道整復師法(昭和45年法律第19号)においては、柔道整復師免許を受けなければならないと規定されており、無免許でこれらの行為を業として行ったものは、同法により処罰の対象になります。

 厚生労働省としましても、都道府県等関係機関と連携して、無資格者によるあん摩マッサージ指圧業等の防止に努めているところであります。

 あん摩マッサージ指圧及び柔道整復等の施術を受けようとする皆様におかれましては、こうした制度の内容を御理解いただき、有資格者による施術を受けていただきますようお願いいたします。

                                                                                厚生労働省医政局医事課

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身体均整協会について

○身体均整協会について

(昭和四一年九月七日)(医第二〇八七号)

(厚生省医務局総務課長あて佐賀県厚生部長照会)

東京都渋谷区代官山町九番地に本部を置く「身体均整協会」に本県に居住している免許を有する柔道整復師および認定を受けた医療類似行為者等が加入しているが、なかには前記以外の全く無資格の者も加入しています。
先日、たまたま無資格の者が指圧ないしマッサージ的な方法をもって施療しているという情報により、その該当者について調査したところ「身体均整協会」の指導により、「整顔整容法」をなしていると言明しました。
同協会が発行している講習会テキスト「整顔整容法」の内容をつぶさに検討しましたが治療あるいは施療などというような字句は全く見当らず、一概にいえば身体のデザインをよくするという論旨のようであり、したがって、このテキストどおりになすとしたら医療類似行為とは見なされないとも考えられるが、その実態は、訪れてくるほとんどの人が「腰が痛むから」「腰をそらかしたから」「リューマチ」「神経痛で」と、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に施療に行っている人となんら変らず、なお行なっているその方法も指圧ないしマッサージ的方法であります。
以上の事情から左記のことをご教示ください。
1 身体均整協会が主唱している「整顔整容法」という方法は医行為あるいはあん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復業ならびに医療類似行為以外の行為と見なしてよいか。
2 「整顔整容法」が医行為あるいは、あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復業ならびに医療類似行為以外の行為であっても現実に「腰が痛いので」「腰をそらかしたから」「リューマチ」「神経痛」だからといって施療を受けにきたものに、あん摩、マッサージ、指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師ならびに医療類似行為者以外の者が指圧、マッサージ的行為を施すことは医行為あるいはあん摩マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復業ならびに医療類似行為と見なしてよいか。
(昭和四一年九月二六日医事第一○八号)
(佐賀県厚生部長あて厚生省医務局医事課長回答)
昭和四十一年九月七日医第二○八七号で当局総務課長あて照会のあった標記について、次のとおり回答する。
医行為又は医業類似行為(広義とする。)であるか否かはその目的又は対象の如何によるものではなく、その方法又は作用の如何によるものと解すべきである。
照会に係る「整顔整容法」なるものは、貴職の調査結果からは、一応あん摩マッサージ指圧行為であると思料されるが、なお人体に対する作用ないし影響等からみて、医師が行なうのでなければ危害が生ずるおそれがあるものであれば、医行為であるので、更に人体に対する影響等につき十分検討のうえ措置されたい。

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平成16年11月04日 004/004] 161 - 参 - 厚生労働委員会 - 2号 社会保障及び労働問題等に関する調査 無資格者対策

○足立信也君 今年十月の介護保険サミット二〇〇四、認定の妥当性に対して、妥当だと、わずか九千人の調査ではありますけれども、妥当だと答えている人は六五%しかいないということを念頭に置いて改革に進んでいただきたいと、そのように考えます。
 次に、続きまして、あんま、マッサージ、指圧、医業類似行為についてです。あんま、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復、カイロプラクティック、整体や足裏マッサージなどの医療の周辺産業です。
 なぜ今回このような質問をするかといいますと、一つには、医療の現場で、病院を受診する前にこういった業者に行き、麻痺や神経障害、骨折を起こす患者さんがいるということです。もう一つは、私の地元の県議会の方から、医業に類似する行為について明確な基準がないので取り締まれないという要望があるからです。
 まず、医業に類似する行為について、判例や厚生労働省の通知に基づいて私が解釈していることを述べます。医業に類似する行為には、法で認められた医業類似行為と、法に規定されていない医業類似行為があって、法で認められた医業類似行為には、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律、略称があはき法です、に基づくあん摩マッサージ指圧、はり、きゅうと柔道整復師法に基づく柔道整復があります。
 もう一つ次に、法に規定されない医業類似行為については、人の健康に害を及ぼすおそれのある業務に限局して禁止処罰の対象になる、このように解釈しておるんですが、これでよろしいでしょうか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) よろしいかと思います。
 あはき法は、一条において、医師以外の者で、あん摩、マッサージ若しくは指圧、はり又はきゅうを業とする者は、それぞれの免許を受けなきゃならないと規定しておりますし、柔道整復師法は十五条において、医師である場合を除き、柔整師でなければ、業としてその柔整を行っちゃならないということを規定しております。
 それから、今のあん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔整以外の医業類似行為についても、あはき法の十二条では禁止されておりますが、ここで禁止されているのは、先生おっしゃったように、人の健康に害を及ぼすおそれのある行為に限られているということでございます。

○足立信也君 今の答弁で、あはき法の第十二条に、何人も、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう以外、医業類似行為を業としてはならないという条文があるけれども、最高裁の判決で、人の健康に害を及ぼすおそれがない場合は職業選択の自由があるのでよろしいということだと思います。それでよろしいかどうか。
 あわせて、あはき法違反者、先ほどの法の違反者に対して実際にどのように規制を行っているか、その点について教えてください。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 昭和三十五年の一月に最高裁の判決が出て、この十二条の禁止というのは、人の健康に害を及ぼすおそれのある行為ということで限られました。
 このような行為が行われている場合、それから取締りでございますが、免許を有さない者があんま、マッサージ、指圧を行っている、このような場合に、各都道府県による衛生規制の観点の指導が行われております。また、警察による捜査、取締りの対象となっているということでございます。
 私ども、各都道府県に対しまして、この医業類似行為に対する取扱い等の通知の発出、それから全国の主管課長会議を通じましてこのあはき法違反等に関する周知徹底を図っているところでございます。

○足立信也君 あはき業、略称のですね、あはき業以外の医業類似行為に関しては、カイロプラクティックについてのみ平成三年に規制事項が定められて医事課長通知という形で出ています。基本的に、それ以外は基準も規制もない状態かと思います。最高裁判決で、健康に害を及ぼすおそれがある場合のみ禁止となったため、行政側も対応に苦慮している状態です。
 害を及ぼすかどうかというものは結果でしか分からないわけで、つまり、医業に類似する行為をまず業として黙認する、人体に害があったら規制する。職業の自由としてはそれでいいかもしれませんが、しかし、無資格の医業類似行為で被害を被った患者さんや、きちんと三年間勉強して国家試験にも合格して、業を営んでいるあはき業の方たちは実際に圧迫を受けているわけです。
 特に、私が今日問題として取り上げたいのは、足裏マッサージとか何々式マッサージという業種です。ある無資格者が行っている行為があはき業なのか、それともあはき業以外の医業類似行為なのか、どのように区別しているのか、その基準を教えてください。
○政府参考人(岩尾總一郎君) もむとか押す、たたく、摩擦するという行為をやるわけですが、どの程度の力を加えるとか、それから置かれているその患者さんの状態にも違うかと思いますが、実は、このあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関する法律では、このあん摩マッサージ指圧業等の定義が置かれておりません。何が法律に規定されたあん摩マッサージ指圧業なのであるか、またそれ以外の医業類似行為なのかというのは、現在まではそれぞれ個々のケースに応じて、社会通念に照らして総合的に判断してきたところでございます。
 御指摘の足裏マッサージなど、マッサージと称することにより、一般人がそこであはき法に言うマッサージ業が行われているものと誤認するおそれがある場合は好ましくないということで、その旨の指導を行うように都道府県にもお願いしてございます。しかし、御指摘の業種が無資格のあはき業に該当するか否かについては、実際に行われている行為の個々具体的な態様により判断されているところでございまして、業態の名称だけで取締りの対象にするというのは困難であるというふうに考えております。
○足立信也君 今、正に基準はないということをおっしゃったわけですね。確かに私は難しいとは思うんですが、このことで地方自治体も非常に頭を悩ませているわけですし、資格を持っている方々からも強い批判が確かにあるんですね。
 で、実際上、全く資格がなくて無資格の方が、自分の行っているのはマッサージではないと、何とか式マッサージなんだから法律上はあはき業ではないんだと主張してしまえば、これもう取締りできないわけですね。
 先ほどおっしゃったのは、多分昭和三十八年の厚生省医務局長の東京都知事あての回答だと思いますが、確かにそこには、あんま、マッサージとは、病的状態の除去、疲労の回復という効果を目的として行われる、もむ、押す、たたく、摩擦するなどの行為の総称であるとされています。だとしたら、足裏マッサージや何々式マッサージという業種は無資格であはき業を行っていると認識できるんじゃないですか。その点についてはいかがでしょう。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 先ほども申し上げましたけれども、そういう何々マッサージ、マッサージという言葉自体はもう一般名詞化しているかと思いますが、そういうようなものに足裏とか何か付けるということで、いわゆる業としてやっているようなものなのか、それともいわゆるあはき業に該当するのか否かというのが、私どもの解釈としては、そこで行われている個々の具体的な行為というものを見ない限り判断できないということで、単なる名前だけではなかなか取り締まれないということを申し上げさせていただきました。
○足立信也君 今のお答えで、多分整理して、こちらが整理しないとなかなかどのようにしていっていいのか難しいというニュアンスの回答だと私は思いますので、言わせていただきます。
 専門の学校に三年間通って卒業して国家試験も通っていると、そういう有資格者と全くの
無資格者が同じように併存している現状では、資格制度そのものが形骸化していると言ってもいいと思うんですね。
 我々民主党は、努力した人が報われる社会を作りたいと、そのように思っています。あはき業の方は多くが視覚障害者です。相当に努力をしてその資格を取った方々だと私は思います。
 あはき業とあはき業以外の医業類似行為を区別する分かりやすい基準を作成して広く国民に伝える、
無資格であはき業を行う者を厳しく取り締まり、有資格者の保護をすべきです。この点が、先ほどどのような方策がいいのか分からないという感じの答弁だったと思います。でも、このことは、専門的知識、技能を有する資格者によって適切、安全なサービスを受けることができるという国民の利益でもあるわけです。その利益を保護することでもあります。
 まず第一に、
無資格者が国民にあたかも資格を持っているように誤認させることを規制しなければいけない。その手段、方法として、現在無資格者が、私はマッサージ師ですと名のることや、自分が仕事をしているところが何々マッサージ、あるいは何々マッサージ所、何々マッサージ施設と勝手に言うことも、マッサージを私はやっています、成人病が治りますよ、生活習慣病を治しますよ、そういう広告をすることもすべて自由なんですね、資格がない人が。
 厚生労働省は、今年の三月、先ほど出ました全国課長会議で、国家資格を持つあはき業者によるあんま、マッサージ、指圧が行われていないのに、マッサージと広告することは看過できないので指導するようにと発言されております。また、資格を持ったあはき業者の広告規制を緩和することについて、もっと広告してもいいようにするために、昨年七月の衆議院の厚生労働委員会で、パブリックコメントを出しているところだと答弁されております。その後、どうなっておりますでしょうか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) このあはきに関する法律の第七条及びこの規定で広告できる事項が制限されているということで、昨今、医療においても広告規制の緩和ですとか、関係団体からも広告規制の緩和についての要望があったということを踏まえまして、昨年の六月に、このあん摩マッサージ指圧業、それから柔道整復業等の広告可能事業の追加についてパブリックコメントを実施いたしました。一般からの御意見というのは昨年の七月に締め切ったんですが、残念ながら広告規制の緩和についてはなお慎重であるべきという趣旨の御意見が多数寄せられたものですから、今日まで、そのような意見があるということで、どのように対応すべきかということを慎重に検討している状況でございます。

○足立信也君 パブリックコメント、それは業者の方からの回答がということで理解してよろしいんですか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) インターネットの回答でございますので、回答する際には相手に対して職種までを求めていなかったかと思いますが、電子メール、それからファクシミリ、郵送ということで、あっ、済みません、意見の提出は、個人の場合は住所、氏名、年齢、職業、法人の場合は法人名、所在地ということでございますので、いろいろな方から来ていると思いますが、ちょっと今詳細には内容は把握しておりません。
○足立信也君 自分の行っている業の広告規制をどうしたらいいかという問題を、その業者の方々に特に集中的には出していないということですね。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 一応、パブリックコメントということで通常の手続でやっておりますので、特定の団体の意見ということではございません。
○足立信也君 慎重であるべきだという意見が多かったと。これは、その母体がどういうことにあるか、また、この業者の方々が先ほど言いましたように視覚障害者が半分近くを占めて、全体としては非常に少ない、それに対してパブリックコメントが慎重であるべきだというのは、ある意味予測された回答といいますか、そのような気がします。
 それよりも、今の問題はあはき業者が広告できる内容を広げたらどうかということなんですが、私が言っているのは、それよりも必要なことは、
無資格者への広告内容の規制だと思うんですね。そのことで、昨年十一月に医政局の医事課長から、痛みを感じるほどの強さで人体に危害を及ぼす、又はおそれのある行為があはき業だと、そのように誤解されるような、今までの解釈とは違う解釈の意味の回答がされております。また、今年三月には、先ほど言いました、あんま、マッサージ、指圧が行われていないのにマッサージと広告することは看過できないと、こういう、基準が行ったり来たりなんですね。ですから、実際に地方の方でも取締りができないということになっているんだと思います。現実は、足裏マッサージや何々式マッサージという看板は乱立しております。
 まず行うべきこと。繰り返しになりますが、あはき業の定義を明確にすること、国家資格を持ったこの独占業務を保護すること、
無資格者があたかも国家資格を持ってマッサージを行っていると国民が誤認しないようにすることです。そのためには、先ほども言いました、無資格者が資格の名称を勝手に使うことは禁止しなきゃいけない、それから場所も何々マッサージ所とかいう名称を使うことはやはり禁止しなければいけないと思います。そして、そのようなマッサージ師という名前や場所の名称を禁止しても、私はやっていますよと、マッサージをやっています、ちゃんと治していますよということを言っては何の意味がないわけですから、独占業務であるあんま、マッサージ、指圧を無資格者が行う旨の表示を行う、その表示を行うことそのものも禁止しなければいけないと私は思います。繰り返しになりますけれども、これはやはり国民の利益を保護することになると。専門的知識、技能を有する資格者による適切、安全なサービスということなんですね。
 私が今順番を追って挙げましたが、そのような規制、あるいはこれは立法というふうになっていくかもしれませんが、国家資格を持った独占業務を保護すること、この考え方について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○副大臣(西博義君) 先ほどからの議論のまとめのような形の御答弁になるかと思いますが、お答えを申し上げたいと思います。
 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律、いわゆるあはき法第一条においては、医師以外の者で、あんま、マッサージ若しくは指圧、はり又はきゅうを業としようとする者は、あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許又はきゅう師免許を受けなければならないと、これが規定をされております。
 あはき法上、これらの定義を定める規定はないというふうに先ほど局長からも答弁申し上げましたが、特定の、もむだとかたたく等の行為があはき法第一条に規定するあんま、マッサージ又は指圧に該当するか否かということにつきましては、当該行為の具体的な態様から総合的に判断されるべきものであるために、一般的にそれを類型化したり、また定義を明確にとことん突き詰めるということは大変困難であるというふうに考えております。
 無資格者についての御指摘の点につきましては、マッサージという既に普及した、言わば一般名詞の使用を特定の資格だけに許すということについての逆に影響があるのではないか。また、もむ、たたくなどの行為にあっても、人体に危害のない範囲であれば法律違反とはならない、これも先ほど判例がございましたが、そのような一般的な業務を行うことの表示を禁止することが合理的であるんだろうかというような点を十分に今後考慮していく必要があると、こういうように考えております。
○足立信也君 まとめられてもちょっと困るようなところがあるんですが、一つ今お伺いした中で、今までの通知、判例の中で、人体に被害というものの中に痛みを伴うようなというのがございまして、今挙げられた無資格者が行っている行為は大体痛みがあるんですね。これは今までの解釈では通用しない部分があるということを、一つ抜けているんではないかということを感じましたし、やはり国家資格ですから、国家資格を持って業を行う方が、無資格者がやっているのと似たようなことをやられていながらも、簡単に言い逃れできると。このことは、非常に失礼な言い方かもしれませんが、弱い立場の人で視覚障害者が多い業種、そのことをやっぱり守っていかなければいけないんではないかと。
 その点に関しては、国家資格を持った独占業務を保護するという観点では先ほどお答えの中に入っていなかったと思います。その二点について、更にお答えください。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 先生御指摘のように、このあはき業は、業務は独占しておりますけれども名称は独占しておりませんし、それから定義もございません。こういう法律の中で、私どもが、そのときの局長通知ですとかそれから最高裁の判例などを踏まえて、現在まで最大限、このような免許を持っている方々の業を法律上保護しながら様々な解釈なり運用をしてきたということでございますので、先生おっしゃいますように、やはり視覚障害者にとっての最大の職場だろうと思いますので、今後そのような先生の御意見を踏まえながら、この先どのようにしたら免許取得者が保護されるのか、無資格者との区別ができるのかということは、もう少し検討させていただければというふうに思っております。
○足立信也君 分かりました。
 私は、もっと積極的に、あはき業以外の医業類似行為についても、その効果、副作用あるいは危険性などについてちゃんと評価をして、得られた情報を関係者、国民に広く伝える、業者への指導監督をすべきだと私は思います。国民の生命と健康を守り、資格制度の形骸化を防ぐためにも、以上のような対策を早急に積極的にやっていただきたいと、そのように思います。
   〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕
 時間がもうありませんので、まだ質問事項あるんですけれども、ちょっと要望というか、注意喚起みたいな形に終わってしまうかもしれませんが、少しお聞きください。
 卒後臨床研修の必修化によって、研修医を指導する医師の確保という観点から、それにまた、国立大学の独立行政法人化によって、医師の派遣先の選定に、もっと採算性のいい、高い施設を優先するようになりました。そのことによって、地域の中核病院、特に公立病院で小児科医、産婦人科医、麻酔医が不足した、あるいは全くいなくなったという事態が現在生じております。今日はその中でも、時間がありませんので、麻酔医についてちょっと御説明いたします。
 麻酔は麻酔医が掛けるということが今もう医師あるいは患者さんの間でも浸透しております。ところが現状は、先ほど言いましたように、地域の中核病院から麻酔の常勤医がいなくなりました。そのため、それらの病院は大学へ麻酔医の派遣要請を行っております。麻酔医側は、例えば関東地区では協定があるので、手術のうち、麻酔料の七五%を出さないといけないというふうに回答が多くございます。麻酔料の要求が高くて、一時代前のように、今外科医が麻酔を掛ける病院が多くなっております。以上のような独占的な協定がなされていると、このような実態がございます。
 このことは今後また私も問題にしていきたいと思うんですが、現実は、卒後臨床研修の必修化、それと国立大学の独立行政法人化が相まってそのような事態になっているという注意を喚起して、私の質問を終わらせたいと思います。
 どうもありがとうございました。

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(昭和二七年三月一八医収第九六号岡山県知事あて厚生省医務局長回答医業類似行為について

医業類似行為について
(昭和二七年三月一八日)
(医収第九六号)
(岡山県知事あて厚生省医務局長回答)
照会
右の者(省略)昭和二十五年十月六日より十五日間岡山市東田町蓮晶寺内において長生医学と称する治療方法の講習会を開催(受講者約二○○人講習料一○○○円講議録三○○円)し、同時に毎日五○人以上の治療を行ったが、右講習修了者は、長生会より訓導の資格を与えられ個人指導と称する営業的治療施術が行い得られ、更に横浜市内本部にて開催の本部講習に出席すれば講師の資格となり、地方において講習会が開催し得る仕組となり現在県内に相当この種業者が増加しつつある。右長生医学なるものは脊髄矯正による万病の治療と称し患者の脊髄部位に摩擦及び打撃を与える簡単な治療であって然も重病者に対する施術であるから衛生上危険の虞があるので、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法第十二条該当と見做して差し支えないか念のためお伺いします。以下略
回答
昭和二十六年十二月三日医第五三号により照会のあった右については、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法第十九条の規定により届出をした者以外のものが講師又は訓導として治療施術を行う場合の疑義と解するが、右の者が事実上患者に対して施術を反覆継続して行っている場合は、同法第十二条の規定により取締るべきものと解する。

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あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法違反被告事件  最高裁判所最終判例 有罪確定

昭和38(あ)1898 あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法違反被告事件  
昭和39年05月07日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 仙台高等裁判所

          

事件名あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法違反被告事件
裁判年月日昭和39年05月07日
法廷名最高裁判所第一小法廷
裁判種別決定
結果棄却
判例集巻・号・頁第18巻4号144頁

原審裁判所名仙台高等裁判所   
原審事件番号
原審裁判年月日

判示事項あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法第一二条にいう「医業類似行為」ということは、概念が明確でないか。
裁判要旨あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法第一二条は「何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない」と規定し、同法第一条に掲げるものとは、あん摩(マツサージおよび指圧を含む)、はり、きゆうおよび柔道整復の四種の行為であるから、これらの行為は、何が医業類似行為であるかを定める場合の基準となるものであつて、その概念が明確性を欠くものとはいえない。
参照法条あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法12条,憲法31条

裁判要旨あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法第一二条は「何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない」と規定し、同法第一条に掲げるものとは、あん摩(マツサージおよび指圧を含む)、はり、きゆうおよび柔道整復の四種の行為であるから、これらの行為は、何が医業類似行為であるかを定める場合の基準となるものであつて、その概念が明確性を欠くものとはいえない。
参照法条あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法12条,憲法31条

主    文
 本件上告を棄却する。
         
理    由
 弁護人遠藤徳雄、同横溝貞夫、同横溝善正、同楢原由之、同三浦寅之助、同今富博愛、同黒柳和也、同桃井銈次、同滝島克久、同永田喜与志、同下光軍二、同渡辺治湟の上告趣意第一点は事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない(本件HS式無熱高周波療法が人の健康に害を及ぼすおそれのあるものであるとした原判決の認定は、挙示の証拠関係により是認し得るところであり、原審における所論各鑑定の取捨、判断に所論のような違法は認められない。また所論はa鑑定書、b鑑定書の証拠能力につき云々するが、本鑑定書の作成に宣誓をしない者が共同しているのは、本鑑定の補助的調査に関する部分であつて、本鑑定自体は正当な鑑定人によりなされたものであると認められるから、所論は理由がない。また、原判決としては、本件療法が公共の福祉に反するものであることを判断するにつき、それが原判示のように人の健康に害を及ぼすおそれのあるものであることを認定すれば必要且つ十分であつて、所論のように低周波説、高周波説のいずれに基づくものであるかを判示することは必要ではなく、この点についても原判決には所論の違法は認められない。)。
 同第二点は、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法一二条の医業類似行為の内容が明確でないことを前提として、憲法三一条違反をいうものである。しかし、前記法律一二条は「何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない」と規定し、同法一条に掲げるものとは、あん摩(マツサージおよび指圧を含む)、はり、きゆうおよび柔道整復の四種の行為であるから、これらの行為は、何が同法一二条の医業類似行為であるかを定める場合の基準となるものというべく、結局医業類似行為の例示と見ることができないわけではない。それ故、右一二条が所論のように犯罪行為の明確性を欠くものとは認められず、違憲の主張は前提を欠くものであつて、採るを得ない。
 同第三点は違憲をいうが、実質は単なる訴訟法違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない(所論「后藤伝」は「後藤博」の誤記であることが記録上認められ、予備的起訴は有効たるを失わず、また変更前の訴因と変更後の訴因とを比較すると、その基本となる事実は、特定の日時、場所において特定人に本件療法を施したという点において同一と認められ、公訴事実の同一性を失うものではない。)。
 同第四点は判例違反をいうが、所論引用の判例は、被術者の健康に医学上害を及ぼす虞あるものではないと認められた電気療法に関するものであつて、本件とは事案を異にし、本件に適切でない。それ故所論は採るを得ない。
 被告人本人の上告趣意(追加上告趣意を含む)一は、事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であり、刑訴四〇五条の上告理由に当らない(所論の理由のないことは、前記弁護人遠藤徳雄外一一名の上告趣意第一点に対する説示参照)。
 同二は違憲をいうが、所論の採ることを得ないことについては、前記弁護人遠藤徳雄外一一名の上告趣意第二点に対する説示のとおりである。
 同三は判例違反をいうが、その採るを得ないことは、前記弁護人遠藤徳雄外一一名の上告趣意第四点に対する説示のとおりである。
 その余の論旨は、単なる訴訟法違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない(所論の理由のないことは、前記弁護人遠藤徳雄外一一名の上告趣意第三点に対する説示参照)。
 よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
  
昭和三九年五月七日
     
最高裁判所第一小法廷
      裁判長裁判官   入 江   
俊 郎
          裁判官   斎 藤  朔 郎
          裁判官   長 部  謹 吾
          裁判官   松 田  二 郎

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あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法違反被告事件 最高裁破棄差戻し判決

事件番号 昭和29(あ)2990

事件名 あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法違反被告事件

裁判年月日昭和35年01月27日

法廷名高裁判所 大法廷

裁判種別 判決

結果 破棄差戻し

判例集巻・号・頁 第14巻1号33頁

原審裁判所名 仙台高等裁判所

判示事項 一 あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法第一二条、第一四条により禁止処罰される医業類似行為
二 右第一二条、第一四条の合憲性

裁判要旨  一 あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法第一二条、第一四条が医業類似行為を業とすることを禁止処罰するのは、人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨と解しなければならない。
二 右のような禁止処罰は公共の福祉上必要であるから前記第一二条、第一四条は憲法第二二条に反するものではない。
(一につき反対意見がある。)

参照法条 参照法条摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法12条,あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法14条,憲法22条

主    文
     原判決を破棄する。
     本件を仙台高等裁判所に差し戻す。
         

理    由
 被告人の上告趣意について。
 論旨は、被告人の業としたHS式無熱高周波療法が、、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法にい医業類似行為として同法の適用を受け禁止されるものであるならば、同法は憲法二二条に違反する無効な法律であるから、かかる法律により被告人を処罰することはできない。本件HS式無熱高周波療法は有効無害の療法であつて公共の福祉に反しないので、これを禁止する右法律は違憲であり、被告人の所為は罪とならないものであるというに帰する。
 憲法二二条は、何人も、公共の福祉に反しない限り、職業選択の自由を有することを保障している。されば、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法一二条が何人も同法一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならないと規定し、同条に違反した者を同一四条が処罰するのは、これらの医業類似行為を業とすることが公共の福祉に反するものと認めたが故にほかならない。ところで、医業類似行為を業とすることが公共の福祉に反するのは、かかる業務行為が人の健康に害を及ぼす虞があるからである。それ故前記法律が医業類似行為を業とすることを禁止処罰するのも人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨と解しなければならないのであつて、このような禁止処罰は公共の福祉上必要であるから前記法律一二条、一四条は憲法二二条に反するものではない。しかるに、原審弁護人の本件HS式無熱高周波療法はいささかも人体に危害を与えず、また保健衛生上なんら悪影響がないのであるから、これが施行を業とするのは少しも公共の福祉に反せず従つて憲法二二条によつて保障された職業選択の自由に属するとの控訴趣意に対し、原判決は被告人の業とした本件HS式無熱高周波療法が人の健康に害を及ぼす虞があるか否かの点についてはなんら判示するところがなく、ただ被告人が本件HS式無熱高周波療法を業として行つた事実だけで前記法律一二条に違反したものと即断したことは、右法律の解釈を誤つた違法があるか理由不備の違法があり、右の違法は判決に影響を及ぼすものと認められるので、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものというべきである。
 よつて、刑訴四一一条一号、四一三条前段に従い、主文のとおり判決する。
 この判決は、裁判官田中耕太郎、同下飯坂潤夫、同石坂修一の後記反対意見あるほか、裁判官全員の一致した意見によるものである。
 裁判官田中耕太郎、同下飯坂潤夫の反対意見は次の通りである。
 われわれは、医業類似行為を業とすることの法律による処罰が、「人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨」のものとする多数意見の解釈に賛成することができない。人の健康に害を及ぼす虞れがあるかないかは、療治をうける対象たる「人」の如何によつてちがつてくる。またそれは療治の実施の「方法」の如何にもかかつている。従つて有害無害は一概に判断できない場合がはなはだ多い。この故に法律は医業類似行為が一般的に人の健康に害を及ぼす虞れのあるものという想定の下にこの種の行為を画一的に禁止したものである。個々の場合に無害な行為といえども取締の対象になることがあるのは、公共の福祉の要請からして、やむを得ない。かような画一性は法の特色とするところである。
 要するに本件のような場合に有害の虞れの有無の認定は不必要である。いわんや法律の趣旨は原判決や石坂裁判官の反対意見にのべられているような、他の理由をもふくんでいるにおいておや。つまり無害の行為についても他の弊害が存するにおいておや。
 以上の理由からしてわれわれは本件上告を理由がないものとし、棄却すべきものと考える。
 裁判官石坂修一の反対意見は次の通りである。
 私は、多数意見の結論に賛同できない。
 原審の判示する所は、必ずしも分明であるとはいえないけれども、原審挙示の証拠とその判文とを相俟つときは、原審は、被告人が、HS式高周波器といふ器具を用ひ、料金を徴して、HS式無熱高周波療法と称する治療法を施したこと、即ち右施術を業として行つたこと、HS式無熱高周波療法は、電気理論を応用して、単なる健康維持増進のためのみならず、疾病治療のためにも行はれ、少くとも右HS式無熱高周波療法が、これに使用せられる器具の製作者、施術者並に被施術者の間では、殆んど凡ての疾病に顕著な治療効果があると信ぜられて居ること及び右治療法が、HS式高周波器により二枚の導子を以つて患部を挟み、電流を人体に透射するものであることを認定して居るものと理解し得られる。
 かゝる治療方法は、健康情態良好なる人にとりては格別、違和ある人、或は疾病患者に、違和情態、疾病の種類、その程度の如何によつては、悪影響のないことを到底保し難い。それのみならず、疾病、その程度、治療、恢復期等につき兎角安易なる希望を持ち易い患者の心理傾向上、殊に何等かの影響あるが如く感ぜられる場合、本件の如き治療法に依頼すること甚しきに過ぎ、正常なる医療を受ける機会、ひいては医療の適期を失い、恢復時を遅延する等の危険少なしとせざるべく、人の健康、公共衛生に害を及ぼす虞も亦あるものといはねばならない。(記録に徴しても、HS式高周波器より高周波電流を人体に透射した場合、人体の透射局所内に微量の温熱の発生を見るのであつて、健常人に対し透射時間の短いとき以外、生理的に無影響とはいえない。)
 されば、HS式無熱高周波療法を、健康の維持増進に止まらないで、疾病治療のために使用するが如きことは、何事にも利弊相伴う実情よりして、人体、及びその疾病、これに対する診断並に治療についての知識と、これを使用する技術が十分でなければ、人の保健、公共衛生上必ずしも良好なる結果を招くものとはいえない。したがつて、前記高周波器を使用する右無熱高周波療法を業とする行為は、遽に所論の如く、公共の福祉に貢献こそすれ、決してこれに反しないものであるとなし得ない。
 而してあん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法が、かゝる医業類似行為を資格なくして業として行ふことを禁止して居る所以は、これを自由に放置することは、前述の如く、人の健康、公共衛生に有効無害であるとの保障もなく、正常なる医療を受ける機会を失はしめる虞があつて、正常なる医療行為の普及徹底並に公共衛生の改善向上のため望ましくないので、わが国の保健衛生状態の改善向上をはかると共に、国民各々に正常なる医療を享受する機会を広く与へる目的に出たものと解するのが相当である。
 したがつて原判示の如き器具を使用て、原判示の如き医業類似行為を業とすることを禁止する本法は、公共の福祉のため、必要とするのであつて、職業選択の自由を不当に制限したとはいえないのであるから、これを憲法違反であるとは断じ得ない。単に治療に使用する器具の物理的効果のみに着眼し、その有効無害であることを理由として、これを利用する医業類似の行為を業とすることを放置すべしとする見解には組し得ない。
 原判示は以上と同趣旨に出で居るのであるからこれを維持すべきものであると考へる。
 検察官 安平政吉公判出席。
  昭和三五年一月二七日
     最高裁判所大法廷
       
裁判長裁判官    田   中   耕 太 郎
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    島           保
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    高   木   常   七
            裁判官    石   坂   修   一

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