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昭和三八年一月九日医発第八号の二各都道府県知事あて厚生省医務局長通知あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師の学校又は養成所等に在学している者の実習等の取り扱いについて・あん摩行為の定義

○あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師の学校又は養成所等に在学している者の実習等の取り扱いについて
(昭和三八年一月九日)
(医発第八号の二各都道府県知事あて厚生省医務局長通知)
標記については、東京都からの別紙1の照会に対し、別紙2のとおり回答したので通知する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(別紙1)
あん摩師等法の施行にかかる疑義について
(昭和三七年八月六日 三七衛医医発第一七二号)
(厚生省医務局長あて東京都衛生局長照会)
1 法第三条第三号について
有資格者が開設する施術所において、無資格者をして法第一条の業務を行わせたとき、または行わせることを目的として無資格者を雇入れたとき、その開設者は法第三条第三号の規定による業務に関し不正の行為があった者と解されるか。
なお、資格を有しない者の開設する施術所に勤務する有資格者である施術者は、その施術所についてなんらかの管理をなすべき責を有するか。もし有するものとすれば、その勤務する施術所の開設者に法第三条第三号に該当する行為があったときは、当該施術所に勤務している資格を有する施術者に対し、第九条の処分を行うことができるか。
2 学校または養成施設の生徒の実習について
(1) 学校または養成施設の実習室において、生徒が実技の実習を行う場合、当該実技教員立合いのもとに、教員および生徒以外の者を、実習の対象として差支えないか。
(2) 学校または養成施設が、生徒の実習を目的として、つぎのところに実習所を設け、当該実技教員立合いのもとで、教員および生徒以外の者を対象として、実習を行うことは差支えないか。
ア 校舎または施設の敷地内
イ アの隣接地域
ウ アおよびイ以外の場所
3 あん摩行為について
別紙Ⅰ浴場内のあん摩類似行為について(昭和二十七年一月十一日医発第八号)および別紙Ⅱ無免許あん摩師の取締り等について(昭和三十二年十一月二十日医発第一六六号)つぎのとおり疑義があるので、具体的にご教示願いたい。
別紙Ⅰの「通常公衆浴場において行われている程度」および別紙Ⅱの「時間、刺戟の強さ等から総合的に判断して」に関し、これらをあん摩師の行う業務と明確に区別するに必要な、総合的判断をなす基準を明示されたい。
4 法第三条第四号について
売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第五条から第十三条までの刑事処分を受けた有資格者である施術所開設者または施術者は法第三条第四号に該当する者と認められるか。

(別紙)
Ⅰ 浴場内のあん摩類似行為について
(昭和二十七年一月十一日医発第八号)(抄)
浴場内でサービス婦女子が客に対して行うもみ、たたき等の行為が通常の公衆浴場において行われている程度を超える場合は、あん摩師の業務と認められるべきものと解する。
Ⅱ 無免許あん摩師の取締り等について(抄)
(昭和三十二年十一月二十日医発第一六六号)
(前段略)なお、いわゆるトルコ風呂等において行われるもみ、たたき等の行為であっても時間、刺戟の強さ等から総合的に判断してあん摩行為と認められる場合があるが………
(以下略)

(別紙2)
あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師の学校又は養成所に在学している者の実習等の取り扱いについて
(昭和三八年一月九日 医発第八号)
(東京都知事あて厚生省医務局長回答)
昭和三十七年八月六日三七衛医医発第一七二号をもって貴都衛生局長から照会のあった標記については、左記のとおり回答する。
1について
(1) あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師法(以下「法」という。)第一条に規定する者(以下「有資格者」という。)が、あん摩、はり、きゅう又は柔道整復を業とすることができない者(以下「無資格者」という。)に法第一条違反の行為を行なわせた場合及び無資格者の法第一条違反の行為を援助した場合は、いずれもその有資格者は法第三条第三号に規定する「第一条に規定する業務に関し犯罪又は不正の行為があった者」に該当する。
しかし、有資格者が、法第一条違反の行為を行なわせる目的を有していたとしても、無資格者を雇用したに止まり、その無資格者に同条違反の行為を行なわせるには至っていない場合は、同条違反の行為の実行がないので、「第一条に規定する業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者」に該当しない。
(2) 無資格者が開設する施術者に勤務する有資格者は、法律上当然に当該施術所の管理責任を負担するものではない。また、法第九条の規定による行政処分を行なうことができるのは、その有資格者自身が法第三条各号の規定に該当する場合に限られる。
2について
あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師を養成する学校又は養成所(以下「養成施設」という。)に在学する者(以下「生徒」という。)が行なう実習の対象者については、格別の制限はない。また、実習は、原則として、養成施設内の実習室において行なうよう指導されたいが、そこで行なうだけでは十分な効果をあげ得ない事情がある場合には、実技教員の施術所等適当な施設を選定して行なわせることとしてもさしつかえない。
なお、無資格者たる生徒の実習が法第一条違反とならないのは、それが有資格者たる実技教員の直接かつ具体的な指示を受けて行なわれるものであり、したがってその生徒が主体的に施術を行なったものとは解されないからである。従って、例え実習の目的を持って行なったにしても、実技教員の直接、かつ、具体的な指示を受けることなく生徒が自主的に施術行為を行なった場合は、それが適法な実習とは認められないことはいうまでもなく、法第一条に抵触することとなる。
3について
法第一条に規定するあん摩とは、人体についての病的状態の除去又は疲労の回復という生理的効果の実現を目的として行なわれ、かつ、その効果を生ずることが可能な、もむ、おす、たたく、摩擦するなどの行為の総称である。
通常の公衆浴場内や理容所内で、一般に、数分の間行なわれている程度の行為は、医学上及び社会通念上そのような効果を目的としているものとは判断し難いし、また実際にもそのような効果を生じ得ないものと考えられるが、所謂トルコ風呂等において行なわれている行為の中には、その広告、施術の実態等から判断して法第一条のあん摩に該当するものも多いものと考えられるので、あん摩師の免許を有しない者が、有資格者の直接、かつ、具体的な指示のもとに、即ちその補助者として(手足として)行なっている場合を除き、個室等において主体的に施術行為を行なっている場合は、実態を調査のうえ、取り締りの措置を講ぜられたい。
4について
お示しの者は、法第三条第四号に該当する

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無免許マッサージ・指圧の取締りについて通達

○免許を受けないであん摩、マッサージ又は指圧を業とする者の取締りについて
(昭和三九年一一月一八日)
(医発第一三七九号)
(各都道府県知事あて厚生省医務局長通知)
免許を受けないで、あん摩、マッサージ又は指圧を業とする者の取締りについては、従来、通知したところにしたがって御配意をわずらわしているところであり、さらに本年九月二十八日本職名をもって、「あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律等について」通知した中でも、視覚障害者であるあん摩マッサージ指圧師の職域を確保するという観点から一層意を用いられたい旨要望したところである。視覚障害者であるあん摩マッサージ指圧師がかねてよりこの業務における職域の確保をつよく主張した理由の一つに免許を受けないあん摩、マッサージ又は指圧を業とする者の増加があることは明らかである。今般改正されたあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)によって、視覚障害者のこの業における職域確保の実現をみたが、この措置を効果あらしめるためにも、さらに左記の方針にしたがい引きつづき免許をうけないでこの業務を行なうものの取締りを強化されたく、重ねて通知する。
1 免許を受けないであん摩マッサージ又は指圧を業とする者がその業務を行なうことの多い旅館等については、その地域の免許を有するあん摩マッサージ指圧師の名簿を配布させる等の方法を講じ免許を受けない者の排除について周知をはかり協力を求めること。
2 施術所を開設している者については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に関する法律施行規則(以下「施行規則」という)第二十四条の規定により届け出られた施術者の氏名を確認し、免許を受けないで業務に従事する者のないように警告するとともに、これらの者に違反行為を行なわせている者であって免許を受けている者に対しては適時適当な行政処分を行なうこと。もっぱら出張によって業務を行なう者についてもこれに準じて扱うこと。
3 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師又は柔道整復師を養成する学校又は養成所に在学する者の実習については、昭和三十八年一月九日本職通知「あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師の学校又は養成所に在学している者の実習等の取り扱いについて」に示したとおり行なわせるようにし、これらの者が、その限度をこえて違法行為にわたることのないよう指導されたいこと。
4 前記1ないし3とは別に免許を受けた者とは直接関係なしに免許を受けないでこれらの業を行なう者については、関係業界の協力を得て、その発見につとめること。
5 前記1ないし4によって把握された違法行為を行なう者についての取締りについては、警察に協力するとともに、その告発については、昭和三十七年十二月二十七日、医務局医事課長発各都道府県衛生部長宛通知「無免許あん摩の取締等について」によられたいこと。

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はり、きゅう及びあんま・マッサージの施術に係る療養費支給申請書の様式について平成一〇年二年一七庁保険発第四号

はり、きゅう及びあんま・マッサージの施術に係る療養費支給申請書の様式について

(平成一〇年二年一七日)
(庁保険発第四号)
(各都道府県民生主管部(局)保険主管課(部)長あて社会保険庁運営部保険管理・保険指導課長連名通知)
標記については、平成九年一二月一日付け保険発第一五〇号通知により、厚生省保険局医療課長から、標準的な様式が示されたところであるが、これに伴い政府管掌健康保険における同申請書については、平成一〇年四月一日受付分からは別添の様式により取り扱われるようご配意願いたい。

別添

                       (表面)

届書コード

処理区分

届書

               被保険者

           健康保険    療養費支給申請書(第  回目)

               家族

3

0

0

4

                                               (はり・きゅう用)

被保険者が記入 

被保険者証の記号・番号

④  生年月日

⑤ 被扶養者番号

⑥給付記録番号

⑦受取代理人

送信

受付年月日

 

 

 

 

 

 

 

 

1

3

5

7

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  被保険者の氏名と印

 

(フリガナ)

事業所の

(ア) 名称

 

(印)

(イ) 所在地

 

  被保険者の
(申請者)
住所

 

⑪郵便番号

 

 

 

 

 

 

 

(フリガナ)

 

⑪ 住所コード

 

 

 

 

  施術が被扶養者に関す
るときは、その者の

 

(ウ)

 

(エ)



明治
大正  年  月  日生
昭和
平成

(オ)

  被保険者との続柄

 

 

 

するところ

傷病名

 

⑫傷病コード

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⑭ 発病又は負傷年月日

⑬カナ

 

 

 

(カ)  発病又は負傷の
    原因及びその経過

 

⑮ 第三者行為によるものですか

0:いいえ  1:はい

施術を受けた
施術所の

(キ)名称

 

(ケ)施術者氏名

 

(ク)所在地

 

 施術の期間

 (支給期間)

 

 

 

 

 日数

⑰入院入院

(コ) 入院の場合左記の入院期間

(サ)  施術に要した費用の額

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

0

1

入院外

入院

自  年  月  日

            日間

至  年  月  日

 

はり師・きゅう師  

施術内容

初療年月日

施術期間

実日数

請求区分

転帰

年   月   日  

自  年  月  日~至  年  月  日

新規・継続

治癒・中止

傷病名     1 神経痛    2 リウマチ    3 頚腕症候群

        4 五十肩    5 腰痛症     6 頚椎捻挫後遺症

摘要

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初回

1 はり   2 はり(電気針併用)   3 きゅう   4 きゅう(電気温灸器併用)

5 はり、きゅう併用   6 はり、きゅう併用(電気針・電気温灸器併用)        円

2回目以降

はり

はり(電気針併用)

     円×   回=        円

     円×   回=        円

きゅう

きゅう(電気温灸器併用)

     円×   回=        円

     円×   回=        円

はり、きゅう併用

はり、きゅう併用(電気針・電気温灸器併用)

     円×   回=        円

     円×   回=        円

  往療料

   加算 (        km)

     円×   回=        円

     円×   回=        円

合計

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無資格者によるあん摩マッサージ指圧業等の防止について 厚生労働省医政局医事課

無資格者によるあん摩マッサージ指圧業等の防止について

医師以外の方が、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復の施術所等において、あん摩、マッサージ若しくは指圧、はり又はきゅう及び柔道整復を業として行おうとする場合には、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和22年法律第217号)において、それぞれ、あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許又はきゅう師免許を、柔道整復師法(昭和45年法律第19号)においては、柔道整復師免許を受けなければならないと規定されており、無免許でこれらの行為を業として行ったものは、同法により処罰の対象になります。

 厚生労働省としましても、都道府県等関係機関と連携して、無資格者によるあん摩マッサージ指圧業等の防止に努めているところであります。

 あん摩マッサージ指圧及び柔道整復等の施術を受けようとする皆様におかれましては、こうした制度の内容を御理解いただき、有資格者による施術を受けていただきますようお願いいたします。

                                                                                厚生労働省医政局医事課

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千葉裁判判決平成16年1月16日療養費委任払いについて

平成16年1月16日判決言渡
平成12年(ワ)第112号 損害賠償等請求事件
            判      決
            主      文
     1 原告らの請求をいずれも棄却する。
     2 訴訟費用は原告らの負担とする。
            事 実 及 び 理 由
第1 請求
 1(1) 被告国及び被告日本銀行健康保険組合は,別紙当事者目録(省略)の原告番号(以下「原告番号」という。)1の原告に対し,連帯して50万円及びこれに対する平成
12年7月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 被告国及び被告千葉銀行健康保険組合は,原告番号2の原告に対し,連帯して50万円及びこれに対する平成12年7月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3) 被告国及び被告安田健康保険組合は,原告番号3の原告に対し,連帯して50万円及びこれに対する平成12年7月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(4) 被告国及び被告経済産業省共済組合は,原告番号4の原告に対し,連帯して50円及びこれに対する平成12年7月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(5) 被告国は,原告番号5,7,12,13,15,16,19,22から124までの各原告に対し,各50万円及びこれに対する平成12年7月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(6) 被告国,被告千葉銀行健康保険組合及び被告千葉県農協健康保険組合は,原告番号6の原告に対し,連帯して50万円及びこれに対する平成12年7月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(7) 被告国及び被告ブリヂストン健康保険組合は,原告番号8の原告に対し,連帯して50万円及びこれに対する平成12年7月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(8) 被告国及び被告東京金属事業健康保険組合は,原告番号9の原告に対し,連帯して50万円及びこれに対する平成12年7月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(9) 被告国及び被告三井化学健康保険組合は,原告番号10の原告に対し,連帯して50万円及びこれに対する平成12年7月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(10)被告国及び被告北陸銀行健康保険組合は,原告番号11の原告に対し,連帯して50万円及びこれに対する平成12年7月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(11)被告国及び被告千葉興業銀行健康保険組合は,原告番号14の原告に対し,連帯して50万円及びこれに対する平成12年7月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(12)被告国及び被告ブリヂストン健康保険組合は,原告番号17の原告に対し,連帯して50万円及びこれに対する平成12年7月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(13)被告国及び被告東京金属事業健康保険組合は,原告番号18の原告に対し,連帯して50万円及びこれに対する平成12年7月6日から支払済みまで年5分の割合によ
る金員を支払え。
(14)被告国及び被告三井造船健康保険組合は,原告番号20の原告に対し,連帯して50万円及びこれに対する平成12年7月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(15)被告国及び被告東京金属事業健康保険組合は,原告番号21の原告に対し,50万円及びこれに対する平成12年7月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告らは,原告番号125の原告に対し,連帯して100万円及びこれに対する平成12年7月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 3 被告国は,原告らに対し,朝日,毎日,読売の各新聞の朝刊全国版に別紙謝罪広告目録記載の謝罪広告を同目録記載の条件で1回掲載せよ。
第2 事案の概要

 本件は,健康保険法に基づく保険給付について,施術者が被保険者(患者)から委任を受けて保険者に療養費を請求する受領委任払いがあん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師に認められていないことについて,それが認められている柔道整復師との間で不合理な差別的取扱いがなされているなどとして,原告らが,被告国に対しては国家賠償法1条1項,4条,民法723条に基づき,損害賠償とともに名誉回復措置として謝罪広告の掲載を求め,その余の被告らに対しては民法709条,710条に基づき,損害賠償を求めた事案である。
 1 争いのない事実等
  (1) 原告番号1ないし124の各原告は,いずれもあん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師等に関する法律(以下「法」という。)2条1項による免許を受けて,あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師(以下「あん摩マッサージ指圧師等」という。)を業とするものである。原告番号125の原告(原告全国保険鍼灸師マッサージ師連合会。以下「原告連合会」という。)は,鍼灸あん摩マッサージ指圧の普及・振興を図ると共に,あん摩マッサージ指圧師等による健康保険取扱いを推進し,もって国民の公益に資することを目的として昭和61年9月に結成された権利能力なき社団であり,原告番号1ないし124の各原告は原告連合会の会員である
   (弁論の全趣旨)。
  (2) 被告国は,厚生行政に関し,保険者に対する行政指導などを通じて適正に健康保険を運用する立場にある。被告経済産業省共済組合は,国家公務員共済組合法に基づいて設立され,組合員らに対して保険給付その他の事業を行う法人であり,被告国及び被告経済産業省共済組合以外の被告らは,平成14年法律第102号による改正前の健康保険法(以下「旧健康保険法」という。)22条(上記改正後の健康保険法(以下「健康保険法」という。)4条)以下の規定に基づいて設立された法人(健康保険組合)である(以下,被告国以外の被告らを「被告組合ら」という。)。
(3) あん摩マッサージ指圧師等については,法の適用があるが,その概要は次のとおりである。
  ア 医師以外の者で,あん摩,マッサージ若しくは指圧,はり又はきゅうを業としようとする者は,それぞれ,あん摩マッサージ指圧師免許,はり師免許又はきゅう師
免許を受けなければならない(1条)。
  イ 施術者(あん摩マッサージ指圧師,はり師又はきゅう師)は,外科手
術を行い,又は薬品を投与し,若しくはその指示をする等の行為をしてはならない(4条,3条の2)。
  ウ あん摩マッサージ指圧師は,医師の同意を得た場合の外,脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない(5条)。
(4) 柔道整復師は,柔道整復師法に基づき柔道整復を業とする者である。
   柔道整復師法の概要は,次のとおりである。
  ア この法律において「柔道整復師」とは,厚生労働大臣の免許を受けて,柔道整復を業とする者をいう(2条1項)。
  イ 柔道整復師の免許は,柔道整復師試験に合格した者に対して,厚生労働大臣が与える(3条)。
  ウ 医師である場合を除き,柔道整復師でなければ,業として柔道整復を行なつてはならない(15条)。
  エ 柔道整復師は,外科手術を行ない,又は薬品を投与し,若しくはその指示をする等の行為をしてはならない(16条)。
  オ 柔道整復師は,医師の同意を得た場合のほか,脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし,応急手当をする場合は,この限りでない。(17条)
  なお,柔道整復とは,骨,筋,関節等に各種の外力が加わることにより生ずる骨折,脱臼,打撲,捻挫の患部を整復することである。
(5) 保険給付制度
  ア 健康保険法は,労働者の業務外の事由による疾病,負傷若しくは死亡又は出産及びその被扶養者の疾病,負傷,死亡又は出産に関して各種の保険給付を行う保険給
付制度を規定している(1条,52条)。保険給付は,厚生労働大臣の指定を受けた病院若しくは診療所又は薬局(以下「保険医療機関等」という。)における療養の給付(医療の現物給付)が原則である(63条1項,3項)。被保険者は,保険医療機関等から63条1項各号に規定する療養の給付を受けた際,当該保険医療機関等に対して一部負担金を支払い,当該保険医療機関等は,療養に要する費用から一部負担金を控除した額を保険者に請求し,保険者がこれを支払う(74条ただし,療養の給付が困難である場合等に限り,療養の給付に代えて,現金給付である療養費払いが認められている(87条)。健康保険法上,被保険者が施術等の療養を受けた際には,療養に要した費用を一旦施術者に全額支払い,その後そこから一部負担金を控除した額を保険者に請求し,保険者がこれを被保険者に支払うといういわゆる償還払いの方法が原則とされている。
 イ 療養費の受給要件
  (ア) あん摩マッサージ指圧師等について
 a 対象疾患
 慢性病であって医師による適当な治療手段のないものであり,主として神経痛,リウマチなどであって,類症疾患(頸腕症候群,五十肩,腰椎症等の病名であって,慢性的な疼痛を主症とする疾患)については,これら疾病と同一範ちゅうと認められるものに限る。
 b 医師の同意
  医師の同意書又は病名,病状及び発病年月日が記載され,施術の適否が判断できる診断書を要する。
  (イ) 柔道整復師について
  a 対象疾患
   骨折,脱臼,打撲,捻挫
  b 医師の同意
  骨折及び脱臼については,医師の同意を要する。ただし,応急手当の場合は,医師の同意は必要ではない。
 (6) 受領委任払い
 柔道整復師から施術を受けた被保険者に対する療養費の支給については,平成11年10月20日付け厚生省老人保健福祉局長及び同省保険局長から都道府県知事宛の「柔道整復師の施術に係る療養費について(通知)」(老発第682号・保発第144号)により,受領委任払いの方法が認められている。この制度の概要は,あらかじめ当該柔道整復師の所属する社団法人と保険者との間で団体協定(柔道整復師個人の場合は契約)を締結しておき,被保険者が柔道整復師から施術を受けた際には,被保険者と当該柔道整復師との間で療養費の受領・請求行為の委任をした上,被保険者において一部負担金を支払い,その後,当該柔道整復師は,一部負担金を控除した額を保険者に請求し,これを受領した上,被保険者に対する受領金返還債務と残金請求権とをは,昭和25年1月19日付けで,都道府県知事宛に,「按摩,鍼灸術にかかる健康保険の療養費について」と題する通知(保発第4号。以下「保発第4号」という。)を発出し,都道府県知事を通じてこれを各健康保険組合等に周知させたが,この通知により,受領委任払いの方法をとることは認められていない。保発第4号の内容は,「標記については療術業者の団体と契約の下に,これを積極的に支給する向もあるやに聞き及んでいるが本件については従前通り御取扱いを願いたい。従ってこの施術に基づいて療養費の請求をなす場合においては,緊急その他眞に已むを
得ない場合を除いては,すべて医師の同意書を添付する等,医師の同意があったことを確認するに足る証憑を添えるよう指導することとして,その支給の適正を期することと致されたい。」というものである。
  あん摩マッサージ指圧師等については,保発第4号が発出される以前から受領委任払いは認められておらず,償還払いの方法がとられており,保発第4号はその趣旨を
確認したものである。
 ところで,あん摩マッサージ指圧師等についても,保険者である健康保険組合が独自に受領委任払いを認める場合もあるが,被告組合らはこれを認めず,償還払いの方法を採っている(以下,被告らが,柔道整復師には受領委任払いを認め,あん摩マッサージ指
圧師等にはこれを認めない取扱いを「本件取扱い」という。)。
(7) 療養費の請求と支払拒否
  本訴提起前に,原告番号1の原告は被告日本銀行健康保険組合に対し患者1名につき,原告番号号2の原告は被告千葉銀行健康保険組合に対し患者1名につき,原告番号
3の原告は被告安田健康組合に対し患者1名につき,原告番号4の原告は被告経済産業共済組合康組合に対し患者1名につき,原告番号6の原告は被告千葉銀行健康保険組合及び被告千葉県農協健康保険組合に対し患者各1名につき,原告番号8の原告は被告ブリヂストン健康保険組合に対し患者1名につき,原告番号9の原告は被告東京金属事業健康保険組合に対し患者1名につき,原告番号10の原告は被告三井化学健康保険組合に対し患者1名につき,原告番号11の原告は被告北陸銀行健康保険組合に対し患者1名につき,原告番号14の原告は被告千葉興業銀行健康保険組合に対し患者1名につき,原告番号17の原告は被告ブリヂストン健康保険組合に対し患者2名につき,原告番号18の原告は被告東京金属事業健康保険組合に対し患者1名につき,原告番号20の原告は被告三井造船健康保険組合に対し患者1名につき,原告番号21の原告は被告東京金属事業健康保険組合に対し患者1名につき,それぞれ受領委任払いの形式で療養費の請求を行ったが,いずれも療養費の支払(支給)を拒否された。
2 争点
(1) 本件取扱いは合理性があるか。
  ア 原告らの主張
  健康保険制度における療養費の支給については,患者が医療機関に対し,一旦医療費を払った後,健康保険から要した医療費の支給を受ける方法(後払い方式)と患者が医療機関において医療を受け,要した医療費は患者から医療機関に対する保険給付の受領委任の下,健康保険から医療機関に対し,直接支給されるという方法(受領委任方式)が考えられる。このどちらの制度を採るかは,国民の医療給付を受ける機会の確保と保険給付の適正さの確保という2つの要請を勘案しつつ,行政庁の裁量の範囲内で決定される。後払い方式の場合は,国民の医療を受ける機会は減少するが,医療機関による不正受給という問題は減少
する。受領委任方式の場合は,国民の医療を受ける機会は増すものの,不正に保険給付を受ける余地が大きくなる。
  結局,受領委任方式を認めるか否かは,当該医療機関が不正受給を行わない(保険給付の適正を害するおそれのない)医療機関であろうという評価,国民の医療を受ける機会を確保する要請が高いか否かの評価の下で判断される。
  健康保険法は,あん摩マッサージ指圧師等及び柔道整復師については,保険医療機関とはしないものの,一定の要件を満たした場合には療養費の支給を認め,事実上健康保険が適用されることとなっている。そして,あん摩マッサージ指圧師等を規制する法
と柔道整復師を規制する柔道整復師法には,資格,免許,施術所の要件,業務に関する規制,監督,罰則のいずれにも違いがないから,あん摩マッサージ指圧師等と柔道整復師に対する社会的信用,国民のこれら医療を受ける機会の保障の必要のいずれについても別異とする根拠はない。それにもかかわらず,厚生労働省は,柔道整復師については受領委任払いを認めながら,あん摩マッサージ指圧師等についてはこれを認めないという差別的な取扱いをし,これにより,あん摩マッサージ指圧師等を利用した患者は,一旦全額を支払い,その後自ら療養費を請求するという煩瑣かつ負担のある手続が強要されているが,このような取扱いには何ら合理的な根拠がない。
  被告国は,柔道整復師については,柔道整復師法17条で,脱臼,骨折の患部に応急手当として施術する場合に医師の同意を要しないとしていることをもって,受領委任払いを認める根拠の1つとしているが,この点は受領委任払いの問題とは直接関係がない(一方は実体的要件,他方は請求手続上の問題である。)上,双方の資格に関する規定全体からみると,業務の性質に基づくわずかな違いでしかなく,両者の社会的信用にも,国民の当該医療を受ける機会を保障する必要性にも,何ら関係のないことである。
  また,医療保険審議会は被告国が設置した機関であり,その柔道整復等療養費部会の平成7年9月8日付け意見は,責任を免れる根拠とはならない。
  よって,本件取扱いは合理性がない。
  イ 被告らの主張
  健康保険法は,厚生労働大臣の指定を受けた保険医療機関等において
のみ,医療の現物サービスの提供としての療養の給付を受けることができる旨規定している。これは,現物給付たる療養の給付は療養そのものが保険給付されるものであることから,医療保険の運営の効率化,給付内容の適正化等を担保するための様々な規定が適用される特定の機関に限り実施されることが適当であるからである。これに対し,保険医療機関としての指定を受けていない者に係る療養費の支給につき,実質上医療の現物サービスの提供と同様の意味を持つこととなる受領委任払いを認めることは,健康保険法が保険医療機関の指定制度を採用した上記趣旨を没却することになる。したがって,健康保険法は,療養費の支給につき,原則として(例外的な場合を除き),受領委任払いの方法によることを認めていないものと解される。なお,健康保険法による給付につき療養の給付を原則としたのは,緊急に療養を受けることができなくなるおそれを避けるためである。また,健康保険法による給付は,医療の現物サービスの提供としての療養の給付を原則とし,それが困難である場合等に限り,療養の給付に代えて,現金給付である療養費払いが認められている。したがって,療養費の支給に当たっては,当該施術が受給要件を満たしていることが前提となるところ,受領委任払いは,施術の内容や額等につき被保険者から確認することができないまま施術者より請求がなされることから,不正請求や業務範囲を逸脱した施術を見逃す危険性が大きいといわざるを得ない。
  ところで,柔道整復については,施術を行うことのできる疾患は外傷性のもので,発生原因が明確であり,他疾患との関連が問題となることが少ないから,不正請求や業務範囲を逸脱した施術等といった弊害が生じる可能性が低いことに加え,整形外科医が不足した時代に治療を受ける機会の確保等患者の保護を図る必要があり,かつ,柔道整復師法17条ただし書に基づき,応急手当の場合には,医師の同意なく施術ができること等医師の代替機能をも有するところ,緊急に療養を受ける必要がある場合に療養費を後払いとすると,被保険者は一時的に療養費を立て替えなければならなくなり,その結果,緊急に療養を受けることができなくなるおそれがある。したがって,柔道整復については,受領委任払いを認める合理的理由がある。
  これに対して,あん摩・マッサージ,はり,きゅうに係る療養費の対象疾患の多くは,外傷性の疾患ではなく,発生原因が不明確で,治療と疲労回復等の境界が明
確でないことから,施術を行う前に保険者が支給要件の確認をすることができない受領委任払いを認めることは,上記の弊害が生じる危険性が大きいし,対象疾患も慢性的な疼痛を主症とする疾患であり,緊急に治療が必要な疾患ではないから,現物給付的な取扱いとする特段の理由がない。
  さらに,あん摩・マッサージ等に係る療養費について受領委任払いを認めた場合,対象疾患の関係で,施術が行われた後に支給対象外と判断される場合が少なくな
いのであり,そうすると,被保険者は,施術に係る費用の全額から一部負担金として支払済みの金額を控除した額を再度施術者に支払わなければならなくなり,施術料金の支払いの手続が煩雑となる一方,施術者も被保険者から施術料金を徴収するという負担が生じる。

これに対し,柔道整復の場合は,療養費の支給対象となるかについて疑義が生じることが少ないから,受領委任払いを認めても,上記弊害が生じるおそれは小さい。
  以上の観点から,医療保険審議会柔道整復等療養費部会の平成7年9月8日付け意見も,柔道整復に係る療養費については特例的に受領委任払いを認めることに肯定的見解を示しており,これに対し,あん摩・マッサージ,はり,きゅうに係る療養費の受領委任払いについては否定的な見解を示しているのである。
 よって,本件取扱いは合理性がある。
(2) 被告国は国家賠償法(以下「国賠法」という。)上の責任を負うか。
  ア 原告らの主張
   (ア) 違法性
    a 原告らの被った不利益
  原告らは,受領委任払いを認められないという差別的取扱いを受けたことにより,以下のような不利益を被った。
   (a) 平成4年度の柔道整復師の施術に対する療養費の推計額は約2048億円であるのに対し,あん摩マッサージ指圧師等の施術に対する療養費の推計額
はわずかに65億円に過ぎない。これを1人当たりの年間保険取扱額としてみると,柔道整復師が825万円であるのに対し,あん摩マッサージ指圧師等は僅かに10万円で
あり,80分の1である。このようにあん摩マッサージ指圧師等について療養費の支給が低廉であることにより,あん摩マッサージ指圧師等の治療院経営上重大な圧迫を受け,経済的不利益を被った。
  (b) 柔道整復師のように受領委任払いという便宜的な手続の利便を得られないことにより,あん摩マッサージ指圧師等は,患者から施術者としての力量が十分でないと判断さ
れ,信頼関係を阻害するという不利益を受けた。
  (c) 受領委任払いを認めないという健康保険法上の取扱いの違いは,あん摩マッサージ指圧師等の資格が,国の制度上,柔道整復師の下にあるとの評価を故なく醸成するものであり,あん摩マッサージ指圧師等の社会的評価及び原告連合会の社会的評価を低下させた。
  (d) あん摩マッサージ指圧師等は,柔道整復師と比較して,不利益に扱われるべき何らの理由もないにもかかわらず,著しく不利益な扱いを受けてきたも
のであり,原告らは,その名誉感情を侵害され,耐え難い精神的な苦痛,屈辱感を受け
てきた。
  b 裁量権の逸脱
  健康保険法63条の「療養の給付」をいかなる者に対して行うか,「給付」の方法をどのようなものにするかは,所管庁である厚生労働省の裁量に委ねられているが,法の執行機関である行政庁が,明文で法律の委任があった場合でもなく,単なる取扱いによって差
別的取扱いを行おうとする場合には,法律上,区別を予定されてい
るか否かという裁量権の枠がはめられているというべきである。
  そして,上記(1)ア記載のとおり,本件取扱いには何ら合理的理由がないにもかかわら
ず,厚生省保険局長は,昭和25年1月19日にあん摩マッサージ指圧師等について受領
 委任払いを認めない旨の保発第4号を発出し,その後,歴代の厚生省保険局長によってこの方針が追認され,あん摩マッサージ指圧師等については受領委任払いが認められてこなかったのである。
  厚生労働省は,健康保険法の趣旨に則り,適正な厚生行政を行うべきであり,不合理な差別的取扱いを行うことは裁量権の逸脱であって許されないものである。

上記のとおり,被告国は,何ら合理的な根拠がないにもかかわらず,あん摩マッサージ指圧師等に受領委任払いを認めてこなかったものであり(柔道整復師に認め,あん摩マッサージ指圧師等に認めないのは,恣意的運用というほかない。),かつ,これによっ
て原告らの被った不利益は上記aのとおり重大であるから,与えられた裁量権を逸脱した
ものである。
 なお,区別が合理的であるか否かは,健康保険法によって保護された利益であるか否かではなく,区別を正当化できる理由があるか否かによって判断されるべきであり,また,
原告らは,本件取扱いにより直接的に不利益を被っているから,反
射的利益論は相当ではない。
  以上によれば,本件取扱いは,被告国の裁量権を逸脱し,原告らに重大な不利益を及ぼすものであるから,違法性を有する。
   (イ)厚生労働省保険局長は,あん摩マッサージ指圧師等に受領委任払いを認めなければ,健康保険取扱高に差異が生じ,あん摩マッサージ指圧師等が患者を獲得す
る機会を減少させるであろうこと,その結果,柔道整復師の方が社会的評価が高くなるであろうことを容認しており,故意が認められる。仮にそうでないとしても,そのような結果を
生じさせたことにつき,重大な過失があるというべきである。
 (ウ) 損害
 上記(1)ア記載のように,あん摩マッサージ指圧師等は,柔道整復師と比較して,不利益に扱われるべき何らの理由もないにもかかわらず,著しく不利益な扱
いを受けてきたものであり,原告連合会以外の原告らが名誉感情を侵害され,耐え難い精神的な苦痛,屈辱感を受けてきたことは明らかである。同原告らが長年受けてきた経済的損害,患者との関係での無力感,社会的な地位維持の妨害等に照らすと,同原告らの精神的な苦痛に対する慰謝料としては50万円を下らない。
  また,原告連合会については,全国のあん摩マッサージ指圧師等に対する適正な健康保険上の取扱いを目指した被告国等への改善申入れや,実際の療養費の請求の代理手続等においても被告らから理由なく無視されるような屈辱的かつ不当な扱いを
受け,団体としての名誉感情が侵害され,社会的評価が低下した。その損害額は100万円を下らない。
 (エ) 因果関係
 被告組合らがあん摩マッサージ指圧師等に対して受領委任払いを認めないという取扱いは,被告国の行政指導(保発第4号)に基づいて行われたものである
から,原告らの受けた名誉感情の侵害,社会的評価の低下という損害と被告国の違法な行政指導との間には,相当因果関係がある。
 (オ) 被告国の責任
 よって,被告国は,原告らに対し,国賠法1条1項に基づき,損害賠償義務を負うととも
に,原告らの名誉の回復措置として,国賠法4条,民法723条に基づき,謝罪広告を掲載するのが相当である。
 イ 被告国の主張
 (ア) 国賠法上の違法
 以下の理由により,本件取扱いについて被告国に国賠法上の違法はない。
 a 職務上の義務
 公権力の行使に当たる公務員の行為が国賠法1条1項の違法と評価されるためには,当該公務員が損害賠償を求めている国民に対して個別具体的な職務上
の法的義務を負担し,かつ,当該行為が上記のような法的義務に違背してされた場合をいうものである。そして,当該公務員の行為が国賠法上違法と評価されるためには,当該
公務員の有する義務が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務であることが必要となるが,当該義務の前提となる法規が損害賠償を求めている当該個別の国民の権利利益の保護を目的としていない場合には,当該公務員は,そのような職務上の法的義務を負担することもない。

これを健康保険法についてみると,健康保険制度は,被保険者及び被扶養者の生活の安定を要請したものであり,同法には,療養費の支給につき施術者の権利利益の保護を目的とした規定は存在していない。そうすると,療養費の支給方法について,当該公務員が,原告らとの関係で,柔道整復師とあん摩マッサージ指圧師等を同じ取扱いを
しなければならない職務上の法的義務はない。
 b 反射的利益
 国賠法1条1項の違法があるというためには,国家賠償を請求する者の主張する利益が単なる反射的利益では足りず,法律上保護されていることを要するものと解すべきである(最高裁昭和61年(オ)第1152号平成元年11月24日第二小
法廷判決・民集43巻10号1169頁)。そして,公務員が法規に違反した行為をしたとしても,当該個人の法律上保護された利益を侵害していない限り,当該個人との関係では職務上の義務を負担しておらず,違法性は否定されるというべきである。療養費は,保険者が療養の給付等をなすことが困難であると認めたとき等に被保険者及びその被扶養者に対して支給されるものであって,被保険者等の生活の安定を図るためのものである。このように,健康保険制度は,被保険者等の生活の安定を図るための制度であって,施術を行う者の利益を保護しているものではない。すなわち,療養費の支給について受領委任払いを認めた場合に,施術を行う者に何らかの利益があるとしても,それは法律上保護された利益ではなく,保険者が被保険者に療養費の支給を行う際の手続により生じるいわば反射的利益にすぎない。原告らは,反射的な利益を得られないことが不合理であると主張しているに過ぎないのであるから,原告らの主張する利益は,法律上保護された利益ということはできない。
 c行政庁の裁量
 一般に,一定の行政権行使の要件が法定され,当該要件を満たす場合に行政権を行使しなければならないとされているときは,当該要件を満たす場合に作為義務が認められるのに対し,行政権行使の要件は定められているものの,行政権を行使するか否かにつき裁量が認められている場合や,行政権行使の要件が具体的に定められていない場合には,直ちに作為義務が生じることはないと解されている。そして,健康保険法87条の規定からすると,具体的にいかなる方法によって療養費を支給するかということについては,行政庁の合理的な裁量に委ねられていると解される。このように行政権の行使に裁量が認められる場合には,原則として作為義務は生じないが,行政権の行使を行
政庁の裁量に委ねた法の趣旨,目的,裁量の幅の大小,規制の相手方及び方法についての法の定め方を前提として,当該行政権不行使の前後にわたる一切の事情を評価の対象とし,当該行政権の不行使が著しく合理性を欠くと評価される場合に限り,作為義務が認められ,国賠法1条1項の「違法」が認められると解すべきである。
  保険給付に関しても,保険制度を維持していく上で必要な諸般の
事情を考慮しなければならないことは明らかであり,本件においても,療養費の支給方法
につき,被告国の公務員の行為が裁量権を濫用,逸脱した場合にのみ国賠法上違法となるというべきである。

そして,上記(1)のように,あん摩マッサージ指圧師等に受領委任払いを認めない取扱いは何ら不合理なものではなく,被告国の公務員の行為が裁量権を濫用,逸脱したものとはいえない。
 d 名誉及び名誉感情
 名誉毀損とは,人に対する社会的評価を低下させる行為であり,客観的な社会的評価が被侵害利益であると解される。しかし,原告らは,受領委任払いが認められていないことが不合理な差別であり,それ故名誉を毀損されたと主張しているだけであって,受領委任払いが認められないことによって,なにゆえ客観的な社会的評価が低下するのか明らかでない。

 また,名誉感情とは,自己自身で与える自己の人格的価値に対する評価であるところ,このような感情は主観的な感情の領域の問題であるから,無条件に法的保護の対象となるものではなく,その態様,程度等からして社会通念上許される限度を超える名誉感情
に対する侵害に限って,人格権の侵害として損害賠償の対象たりうるものと解される。

 原告らは,柔道整復師に比べて受領委任払いが認められていないことが名誉感情の侵害であるというに過ぎず,これをもって,社会通念上許される限度を超える名誉感情に対する侵害であるということはできない。
 (イ) 損害
 上記(ア)d記載のとおり,本件取扱いが原告らの社会的評価を低下させたということはできないし,また,本件取扱いによって原告らが社会通念上許される限度を超えて名誉感情を侵害されたということもできない。したがって,原告ら主張の損害は生じていない。
 (3) 被告組合らが不法行為責任を負うか。
 ア 原告らの主張
 (ア) 違法性
 a 平等原則の適用
 被告組合らを含む健康保険組合は,私人であり,本来私的自治の原則が妥当し,誰に対して保険給付をなすか,どのような方法でなすかは自由であるはずのものである。しか
し,健康保険組合は,国の実施する健康保険行政に組み込まれ,その実施,運用の一翼を担うことを法定されているものであり,まさに法規によってこれら
の事業を実施しているのである。すなわち,健康保険法上,健康保険組合自体が一定の場合には強制的に設立されなければならないものとされている(14条)。また,被保険者
資格の取得,喪失も法定されており(35条,36条),手続的にも,一定の場合には,厚生労働大臣の審査を受けた上で保険給付の支払いを行うものとする等の扱いが法定され
ている(76条4項)。このように,被告組合らの業務は,きめ細かな健康保険業務の実現のために国の施策をこれに代わって実施しているものであること(代替性),各健康保険組合の権限が法規によって与えられているものであること(権限の由来),その業務の性質が国民の医療機会の充実,費用面での保護という共通の利益を目的としていること(業務自体の公共性)など,被告組合らは,業務の遂行に関して国に準じた地位に置かれている。
  もともと,憲法の規定する平等原則は,公的機関による正当な理由のない不平等扱いを禁止することにより,国民間の公平な取扱いを実現せんとするものであるが,法規を根拠として公的機関に代わって代替的に公共的業務を遂行する機関にも平等原則が適用されることは当然である。
 b 本件における違法性
 原告番号1から4まで,6,8から11まで,14,17,18,20,21の各原告は,被告組合らに受領委任払いの形式で療養費の請求を行ったが,何ら合理的理由がないのに,その支払を拒否されるという,柔道整復師に比べて差別的取扱いを受けたことにより,名誉感情を侵害され,社会的評価を低下させられた。
  また,同原告らからの保険給付請求は全て原告連合会を通じて行
っており,直接的に拒否の通知を受けたのは同原告であるから,同原告の名誉感情を侵害し社会的評価を低下させた。
 (イ) 故意,過失
 保発第4号は,あくまでも行政庁が被告組合らに対して任意の協力を呼びかけ,行政目的を達しようとするもので,行政指導に当たるところ,行政指導は,あくまでも私人が任意に従うことを要求するものであり,これに従うことが罰則等によって強制されているわけではないので,これを受けた私人が行政指導に従って違法な行為を行った場合には,行政指導を受けた側の任意の判断で行われたものであるから,責任を回避する理
由とはならない。

 そして,保発第4号は,昭和25年1月19日に発せられているが,禁止されたはずの「柔道整復師と保険組合等との協定」は存続し続けているし,被告国は,保発第4号に違反している柔道整復師に対して何らの不利益な取扱いもしていない。

 しかも,昭和63年に至り,違法とされたはずの「施術業者との協定」を追認している。さらに,あん摩マッサージ指圧師等に対しても,現実に多くの健康保険組合は受領委任払いを認めているが,これは,厚生労働省の指導に従わず,独自の判断で支払いをしているのである。
 そうすると,被告組合らが保発第4号に従ったことによって免責されるものではない。
 (ウ) 損害
 被告組合らの行為により,原告らは,上記(2)ア(ゥ)と同様の損害を被った。
 (エ) 因果関係
 被告組合らの差別的取扱いにより原告らが上記(ウ)の損害を被ったものであるから,被告組合らの差別的取扱いと原告らの被った損害との間には相当因果関係がある。
 (オ) 被告組合らの不法行為責任
 よって,被告組合らは,民法709条,711条に基づき,被告国と連帯して損害賠償義
     務を負う。なお,上記(ア)bの支払拒否の理由は,被告国が発した保発第4号あるから,被告国と被告組合らとは共同不法行為の関係にある。
 イ 被告組合らの主張
 (ア) 違法性
 一般に,民法709条等の違法性の判断基準については,被侵害利益の種類・性質と侵害行為の態様との相関関係において考察されるべきものであり,被侵害利益が強固であれば行為の不法性が小さくとも違法性が肯定されるが,被侵害利益が強固で
ないときは行為の不法性が大きくない限り違法性は肯定されないと解されている。
  そして,原告らの主張する被侵害利益は,名誉あるいは名誉感情であると解されるが,受領委任払いを認めないことで,何故客観的な社会的評価が低下するのかが明らかではないし,また,そのことが,社会通念上許される限度を越える名誉感情に対する侵害であるということもできない。
  また,上記(2)イ(ア)で述べたとおり,被告国があん摩マッサージ指圧師等について受領委任払いを認めないことは何ら違法ではないから,被告組合らがあん摩マッサージ指圧師等について受領委任払いを認めないことも何ら違法ではない。
 (イ) 故意,過失
 健康保険組合は,厚生労働大臣の監督下に置かれているところ,本件の場合,昭和25年1月に,当時の厚生省保険局長が,療養費の支給をあたかも現物給付のように取り扱うことは認められない旨の通知(保発第4号)を発出しているのであるから,被告組合らが,上記通知に従い,あん摩マッサージ指圧師等に係る療養費につき受領委任払いを認めなかったからといって,故意又は過失があったということはできない。
第3 当裁判所の判断  
 1 争点(1)について
 (1) 認定事実
 上記第2の1の事実に,証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。
 ア 療養の給付の趣旨等
 健康保険法による保険給付は,保険医療機関等における疾病等の治療を目的とした一連の医療そのものの給付,すなわち療養の給付を原則としている(旧健康保険法43条1項,3項,健康保険法63条1項,3項)。そして,被保険者は,保険医療機関等から療養の給付を受けた場合には,当該保険医療機関等に対し,一部負担金を支払い(旧健康
保険法43条の8,健康保険法74条1項),当該保険医療機関等は,療養に要する費用から一部負担金を控除した額を保険者に請求し,保険者がこれを支払う(旧健康保険法43条の9,健康保険法76条1項)。
 このような療養の給付は,厚生労働大臣の指定を受けた保険医療機関等においてのみ受けることができる(旧健康保険法43条1項,3項,健康保険法63条1
項,3項)。これは,給付対象となる療養については,保険者が確認することなく療養そのものが被保険者に給付されるため,健康保険制度の効率的な運営,給付内容の適正化などを担保することのできる保険医療機関等においてのみ実施させることが適当であるためである。

 このような趣旨から,健康保険法において,当該保険医療機関等は,① 療養の給付に関し厚生労働大臣の指導を受けること(旧健康保険法43条の7,健康保険法73条1項),② 厚生労働大臣の求めに応じて診療録,帳簿書類その他の物件の検査を受けること(旧健康保険法43条の10,健康保険法78条1項),③ 療養の給付に関する費用の請求について不正があったときは当該保険医療機関等の指定を取り消されることがあること(旧健康保険法43条の12,健康保険法80条3号)などが定められている。
 イ 療養費の支給要件
 健康保険法による保険給付は療養の給付が原則であるが,保険者が療養の給付等を行うことが困難であると認めるとき,又は保険医療機関等以外の者から診療,手
当等を受けた場合において保険者がやむを得ないと認めるときは,その費用の一部を事後的に療養費として支給できる(旧健康保険法44条の2,44条の3,健康保険法87条)。

療養費の支給(現金給付)は,療養の給付(現物給付)の補完的役割を果たすものであり,被保険者は,現物給付と現金給付の選択の自由を与えられているものではない。
 療養費支給の具体的事例としては,① 無医村等で保険医療機関がないか又は利用できない場合において,応急措置として売薬を服用した場合,② 治療用装具,
③ 柔道整復師による施術,④ あん摩マッサージ指圧師等による施術,⑤ 生血等が挙げられる。
 ウ 療養費の支給方法
 健康保険法は,療養費の支給方法について具体的な規定を設けず,「療養費を支給することができる」(旧健康保険法44の2,健康保険法87条1項)とのみ規定しているところ,被保険者による療養費の流用,療養費の不正請求,業務範囲を逸脱した施術等の弊害を回避するため,療養費は,原則として,償還払いの方法(後払いの方法)がとら
れている。

すなわち,償還払いは,被保険者が療養を受け,施術料を施術者に支払った後,療
養費支給申請書に被保険者が傷病名とその原因,手当の内容及びその期間等健康保険法施行規則66条所定の事項を記載し,費用の額を証する書類(施術料の領収書)を添付して保険者に療養費を申請するという方式であり,療養費の支給に先立って施術の内容や額等について被保険者から確認することができるため,不正請求や業務範囲を逸脱した施術等がなされる可能性を少なくすることができるものである。
 エ 柔道整復に係る療養費の取扱い
 (ア) 支給対象
 柔道整復における療養費の支給対象となる疾患は,急性または亜急性の外傷性の骨折,脱臼,打撲(急性または亜急性の介達外力による筋,腱の断裂を含む。),捻挫であり,内科的原因による疾患は含まれない。このうち骨折及び脱臼については,応急手当の場合を除き,医師の同意が必要である(柔道整復師法17条)。

 ただし,通達により,実際に医師から施術について同意を得た旨が施術録に記載してあることが認められれば,必ずしも医師の同意書の添付を要しないものとされ(昭和31年医発第627号),さらに,「施術録に記載してあることが認められれば」とあるのは,給付支給事務取扱上いちいち保険者において施術録を調査した後でなければ支給を行ってはならないという意味ではなく,疑わしいものについて調査を行う場合を予想するものである,とされている(昭和31年保険発第140号)。
 (イ) 支給方法
 戦前において,整形外科担当の医療機関や医師が不足していたことや,骨折等の場合にも医師の診療を受けるより柔道整復師の施術を受ける患者が多かったことなどの沿革的理由から,健康保険組合等の保険者は,昭和11年に各都道府県ごとに所在の柔道整復師会と協定を締結し,受領委任払いを認めてきた。昭和62年ころ,関東地方を中心に,社団法人日本柔道整復師会(以下「日本柔道整復師会」という。)以外の団体所属の柔道整復師からの受領委任払いの請求に対し,請求書の返戻及び支払いの保留を行う保険者が相次いだ。

 このような対応につき,福島,東京等で,一部の団体所属の柔道整復師のみを優遇する措置は違法であるとして被告国らを相手方として訴訟が提起された。この訴訟は,訴訟外で和解協議が続けられ,この協議に基づき,昭和63年7月14日付けで厚生省保険局長らから保発第89号及び厚生省保険医療課長から保険発第76号が発出され,日本柔道整復師会所属でない柔道整復師についても同様の取扱いを行うべき旨が全国に通知された。これにより,日本柔道整復師会に所属している柔道整復師については,従来どおり,都道府県ごとに所在する柔道整復師会との協定により受領委任払いが認められ,それ以外の柔道整復師については,都道府県知事と契約を締結することにより,受領委任払いが認められることとなった。

そして,昭和63年8月,被告国が従来の取扱いを改めるなどの裁判外の和解が成立し
て,訴えは取り下げられた。
 その後,平成11年10月20日付けで厚生省老人保健福祉局長・同省保険局長から都
道府県知事宛に「柔道整復師の施術に係る療養費について(通知)」(老発第682号・
保発第144号)が発出され,柔道整復師の受領委任の取扱いについて改正がされたが,
平成12年1月1日から適用される同通知には,以下の定めがあり,受領委任払いの取扱いが認められている。
 a 受領委任の取扱いを希望する柔道整復師は,同通知に添付された「協定書」の協定又は「受領委任の取扱規程」に定める事項を遵守することについて(施術所の所在地の)
都道府県知事等(日本柔道整復師会所属の柔道整復師については
都道府県柔道整復師会長も含む。)に確約した上,受領委任の届け出又は申し出をしな
ければならない。
 b 都道府県知事等は,柔道整復師が同協定又は同規程に定める事項を遵守しなかった場合や療養費の請求内容に不正等がある場合には受領委任の取扱い
を中止する。
 c 受領委任の取扱いをする柔道整復師は,受領委任に係る施術に関する施術録をその他の施術録と区別して作成しなければならない。
 d 都道府県知事等は,必要があると認めるときは,施術に関して指導又は監査を行い,帳簿及び書類を検査し,説明を求めることができる。
 オ あん摩マッサージ指圧師等に係る療養費の取扱い
 (ア) 療養費の支給対象
 a あん摩マッサージ指圧について
 医療上の必要があって行われたと認められるマッサージが対象であり,筋麻痺等麻痺の緩解措置としての手技,あるいは関節拘縮等により制限されている
関節可動域の拡大等を促し症状の改善を目的とする医療マッサージについて支給される。
 b はり,きゅうについて
 医師による適当な治療手段のない慢性病で,① 保険医療機関に
おける療養の給付を受けても所期の効果の得られなかったもの,② 今まで受けた治療の経過からみて治療効果が現れていないと判断された場合等である。そして,医師の同意書により,神経痛,リウマチ,頸腕症候群,五十肩,腰痛症,頸椎捻挫後遺症のいわゆる6疾患であることが確認できれば,個別に判断することなく①②の要件を満たして療養費の支給対象とされる。
 (イ) 医師の同意
 被保険者が療養費を請求する場合には,緊急その他真にやむを得ない場合を除き,支給申請書に医師の同意書(又は病名,症状及び発病年月日が記載され,施術の適否が判断できる診断書)を添付する扱いとなっている(保発第4号,昭和42年保発第32号)。なお,通達により,あん摩マッサージ指圧師等の施術に関し,診断書の交付を患者から医師が求められた場合には,適切な対処がなされるよう配慮すべきとされ(平成5年医事第93号,保険発第116号),また,初療の日から3か月を経過した時点において,更に施術を受ける場合には,実際に医師から同意を得ていれば必ずしも医師の同意書の添付は要しないものとされている(昭和61年保発第37号,昭和63年保険発第59号)。
 (ウ) 支給方法
 保険者のうち,約7割はあん摩マッサージ指圧師等に受領委任払いを認めているが,被告国及び被告組合らはこれを認めていない。
 カ 柔道整復師とあん摩マッサージ指圧師等の共通点・相違点等
 (ア) 療養費と就業人口
 平成11年度の柔道整復に係る療養費は2655億円であるが,同年度のあん摩・マッサ
ージ,はり,きゅうに係る療養費は159億円である。
 また,平成10年度の柔道整復師の就業人口は2万9087人であ
るのに対し,同時点で就業しているあん摩マッサージ指圧師は9万4655人,はり師は6
万9236人,きゅう師は6万7746人(あん摩マッサージ指圧師等の合計は23万16
37人)である。
 (イ) 法制度上の共通点
 a 受験資格
 いずれも,学校教育法56条の規定により大学に入学することの
できる者で,3年以上,文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとし
て,文部科学大臣の指定又は認定した学校又は厚生労働大臣の指定又は認定した養成施設において解剖学,生理学,病理学,衛生学その他柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師等となるのに必要な知識及び技能を修得した者について受験資格が認められている(柔道整復師法12条,法2条)。
 b 免許の登録
       いずれも,厚生労働省に備え付けてある名簿に登録する方法によ
り行われる(柔道整復
      師法5条,6条1項,法3条の2,3条の3第1項)。
     c 欠格事由
       いずれも,次のいずれかに該当する者には免許を与えないことがあるとされている(柔道整復師法4条,法3条)。
 (a) 精神病者又は麻薬,大麻若しくはあへんの中毒者
 (b) 伝染性の疾病にかかっている者
 (c) 業務に関し犯罪又は不正の行為があった者
 (d) 素行が著しく不良である者
 そのほか,施術所の届出,構造設備等に関する規制,守秘義務,罰則等について同様の規定内容となっている。
 (ウ) 相違点
 脱臼又は骨折の患部に対する施術について,柔道整復師についてもあん摩マッサージ指圧師についても,医師の同意が必要であるが,柔道整復師については,応急手当の場合を例外としている(柔道整復師法17条,法5条)。
 そのほか,はり師に関し,「はり師は,はりを施そうとするときは,はり,手指及び施術
の局部を消毒しなければならない。」との規定がある(法6条)。
 (エ) 鍼灸術は,古来からの臨床的実践の積み重ねにより,鎮痛効果が経験上確認されてきたものであり,わが国においては,昭和48年にはり麻酔が紹介されて以来,臨床上,鎮痛効果のほか血行改善効果,筋肉弛緩効果,体調改善効果があるとされ,そ
の効果等につき多数の研究報告がなされている。
 キ 会計検査院の処置要求
 会計検査院は,平成5年12月3日付けで,当時の厚生大臣に対し,柔道整復師の施術に係る療養費の支給について,会計検査院法34条により,要旨次のとお
り,調査した上,是正改善の処置を要求した。
 近年,柔道整復師の施術に係る療養費は高い伸び率を示していることなどから,療養費は柔道整復師の施術の対象となる負傷について支給されているか,療養費は患者の療養上必要な範囲及び限度で行われた施術について支給されているかなどの観点から,36都道府県所在の94の施術所の平成2年度から平成4年度までの療養費について調査した。

 その結果,医療機関の診療と同時期の施術,内因性疾患に対する施術,多部位施術,長期間施術,定期的な負傷部位の変更,連日の施術,多人数の施術,患者による確認がないまま受領委任状作成など,請求が不適正であったり請求内容に疑義があったりしているのに,十分に審査,確認しないまま療養費が支給されている事態が見受けられた。この事態は適切ではないので,柔道整復師,保険者等に対し,療養費制度及び受領委任制度の趣旨を周知徹底させること,不適正な請求を防止するために算定基準等について所要の改正を行うこと,審査委員会の設置を更に推進するとともに,審査基準を明確にするなど審査体制の整備を図ること,施術所に対する指導,監査の基準を明確にしたり,施術所の施術録等の作成,保管を徹底させたりなどして指導,監査の体制の整備を図ることという改善の処置を執る要がある。
 ク 医療保険審議会の審議結果
 柔道整復,あん摩・マッサージ,はり,きゅうの施術に関し療養費支給の適正化等について専門的観点から検討を行うため,平成6年10月5日,医療保険審議会令5条に基づき,医療保険審議会に柔道整復等療養費部会が設置され審議がなされて,平成7年9月8日付けで「柔道整復等の施術に係る保険給付について」と題する意見(報告)がとりまとめられ,これは同年10月の医療保険審議会全員懇談会において了承された。その概要は以下のとおりである。
 (ア) 柔道整復に係る療養費について,特例的に受領委任払いが認められてきたのは,次のような理由によるものであり,こうした経緯やこれまでの実績を考慮すると,今後もこの取扱いを継続することはやむを得ないものと考えられる。
 a 整形外科医が不足していた時代に治療を受ける機会の確保等患者の保護を図る必要があったこと。
 b 柔道整復師法17条ただし書に基づき,応急手当の場合には,医師の同意なく施術ができること等医師の代替機能をも有すること。
 c 施術を行うことのできる疾患は外傷性のもので,発生原因が明確であることから,他疾患との関連が問題となることが少ないこと。
 (イ) あん摩・マッサージ,はり,きゅうに係る療養費に関しては,柔道整復師との均衡から,受領委任払いを認めるべきであるとの意見があった。しかし,柔道整復師に受領委任払いが認められているのは,あくまでも特例的であること,また,あん摩・マッサージ,はり,きゅうに係る療養費の対象疾患の多くは,外傷性の疾患ではなく,発生原因が不明確で,治療と疲労回復等の境界が明確でないこと等から,施術を行う前に保険者が支給要件の確認をできない受領委任払いを認めることは適当ではない。
 (ウ) 柔道整復に係る療養費の支給の適正化のために,・ 療養費の審査体制の充実(適正かつ公平な審査が確保できる公的な審査委員会を各都道府県に設置するこ
と,審査委員会は,保険者,施術者及び学識経験者(医師を含む。)の3者同数の構成とすること,審査委員会では,全保険者に係る療養費の全数を審査対象とすること,審査委員会の権限を明確化することなど),・ 療養費の審査等の適正化(支給額の算定基準の適正化(長期,多部位の施術に係る逓減性の充実等),審査基準の統一(近接部位の取扱い,所定の申請書による審査基準を統一的に定め,その内容の明確化を図ること,内科的な原因による疾患は支給対象にならないことを審査基準において明確にすること,療養費支給申請書に具体的な負傷原因の記載が行われるようにすること),・ 療養費の指導・監査の実効性の確保(指導・監査を拒否した場合等における契約停止,受領委任の取扱中止の運用の徹底を図るため所要の措置を講ずること,指導・監査の法令上の位置付け)が必要である。
 ケ 国会における審議等
 (ア) 昭和61年12月16日,第107回国会参議院社会労働委員会において,当時の厚生省保険局長は以下のとおり答弁した。
 「療養費の支給は,保険者が行うべき医療給付を事後的に現金によって給付をするというのが原則でございますが(中略)現在現物給付になっていないものについては,保険者が,実際に費用を支払った患者本人の申請に基づきまして,医療保険として給付する必要があるかどうか,内容的に保険としての給付をすることが適当かどうかということを個別に判断するものについては,原則どおり償還払いにしているということになっているわけでございます。」
  (イ) 平成12年11月16日,第150回国会参議院国民福祉委員会において,当時の厚生省保険局長は,以下のとおり答弁した。
 「受領委任制度がなぜ柔道整復だけにあるのか,こういうことでございますが,主として
慣行的といいますか,沿革的な理由であるわけでございまして,整形外科のお医者さんが不足した時代に治療を受ける機会の確保,こういうことで,患者の保護ということで療養給付に近い形を認めたわけでございまして,特に応急手当ての場合には医師の同意なくして手術ができるお医者さんの代替機能を有していた,こういうふうな事情から受領委任払い制度が認められているわけでございまして,これは既に制度の仕組みとして成り立っておりますので今さら廃止ということにはならぬと思います。」
 (ウ) 平成15年6月13日,第156回国会衆議院厚生労働委員会において,厚生労働省保険局長は,以下のとおり答弁した。
 「柔道整復師に係ります療養費につきましては,原則はそういうこ
となんでございますけれども,施術を行うことができる疾患が外傷性のもので,発生原因が明確であることから,他疾患との関連が問題となることが少ないこと,それから,柔道整復師は,捻挫,打撲につきましては医師の同意なく施術を行うことが認められておりまして,骨折,脱臼等につきましても応急手当ての場合には医師の同意なく施術ができるなど,医師のいわば代替的な機能も有している,それから,整形外科医が不足をしていた時代におきまして,被保険者が緊急に治療を受ける機会を確保することができたという歴史的な沿革があるということから,受領委任払いを認めてきているというところでございます。」
 (エ) 平成15年7月8日提出の衆議院議員の質問主意書に対し,内閣は,閣議決定を経た平成15年9月2日付け答弁書において,以下のとおり答弁した。「健康保険法においては,保険医療機関が被保険者に対して療養の給付を行うことが原則とされる一方,第87条第1項により,保険者は,療養の給付を行うことが困難であると認めるとき又は保険医療機関以外の者から診察,手当等を受けたことがやむを得ないと認めるときは,その費用の一部を療養費として支給できることとされている。

柔道整復に係る療養費については,かつて整形外科を担う医師が少なかったこと,柔道整復師は脱臼又は骨折に対する応急手当をすることがあり,その場合には柔道整復師法(中略)第17条により医師の同意を要しないこととされていること等を踏まえ,被保険者がその疾病に対する手当等を迅速に利用することを可能とする観点から,例外的に,受領委任払い(保険者と柔道整復師により構成される団体又は柔道整復師との間で契約を締結するとともに,被保険者が療養費の受領を当該契約に係る柔道整復師に委任することにより,保険者が療養費を被保険者ではなく,柔道整復師に支払うことをいう。)の実施が認められているところである。」
 コ 上記エ(ィ)のとおり,平成11年10月20日付け老発第682号・保発第144号通知に
より,柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任の取扱いについて改正がなされたが,受領委任払いの適切な運用ないし適正な実施には困難さが伴う(これは,上記キのとおり,会計検査院より是正改善の処置要求がされたことからもうかがわれる。)ため,前記キで指摘された受領委任払いの問題点は基本的に変わっていない。
 (2) 判断
 ア 健康保険法における療養の給付及び療養費の支給の趣旨等並びに受領委任払
 (ア) 健康保険法は,保険者が被保険者の疾病,負傷等に関して保険給付をすることを目的とするものであり(1条),上記(1)アのとおり,その保険給付は,保険医療機関等における疾病等の治療を目的とした一連の医療そのものの給付,すなわち療養の給付(現物給付)を原則としている。そして,上記(1)アのとおり,被保険者は,保険医療機関等から,上記療養の給付を受けた場合には,当該保険医療機関等に対し,一部負担金を支払い,当該保険医療機関等は,療養に関する費用から一部負担金を控除した額を保険者に請求し,保険者がこれを支払うという制度になっている。このように,健康保険制度は,療養に関する費用を後払いとした場合には被保険者が一時医師に支払う費用を立て替える必要が生じるため迅速な医療を受けることができない可能性があることなどから,現物給付を原則としているものと解される。
 そして,健康保険制度における給付の対象となる療養については,療養そのものが被保険者に給付されるため,厚生労働大臣が指定した保険医療機関等のみに
おいて提供されることとされている。そのため,上記(1)アのとおり,健康保険法におい
て,保険医療機関等は,療養の給付に関し厚生労働大臣の指導を受けること,厚生労働大臣の求めに応じて診療録,帳簿書類その他の物件の検査を受けること,療養の給付に関する費用の請求について不正があったときは当該保険医療機関等の指定を取り消されることがあることなどが定められるなど,厚生労働大臣による指導監督等により,療養の給付が適正になされることが担保されている。
 (イ) 健康保険法87条に基づく療養費の支給については,保険者は,療養の給付を行うことが困難であると認めるとき,又は保険医療機関以外の者から診察,手当
等を受けたことがやむを得ないと認めるときは,現にその費用を事後的に療養費として支給できることとされており,療養費の支給自体が療養の給付の補完的な役割を果たすものと解される。
 そして,療養費については,健康保険法86条3項に規定される特定療養費,85条5項
に規定される入院時食事療養費等とは異なり,現物給付化(保険者が被保険者に代わり医療機関等に支払うこと)を可能とする規定が設けられていない。また,療養の給付を担う保険医療機関等については,その指導監督を含む上記の厳格な指導監督を実施しているのに対し,保険医療機関等以外の者については,そのような指導監督等の手段が用意されておらず,保険医療機関等以外の者が行う療養の給付については,その適正な給付を担保する手段も用意されていない。
 すなわち,健康保険法上,療養費の支給自体が例外として設けられているとともに,療養費の支給を療養の給付のように現物給付化することは,健康保険法の予定していないものと解される。
 (ウ) ところで,受領委任払いは,あらかじめ保険者と柔道整復師の団体又は柔道整復師との間で協定ないし契約を締結しておき,被保険者が柔道整復師からの施術
を受けた際には,被保険者が療養費の請求及び受領を柔道整復師に委任した上,一部負担金を支払い,その後,当該柔道整復師から保険者に対し,一部負担金を控除した額を請求し,受領するものである。
 したがって,受領委任払いは,後払い方式の例外であるとともに,療養費の支給を現物給付化するものといえる。
 また,受領委任払いは,保険者において施術の内容や額等につき被
保険者から確認することができないまま施術者より請求がなされることから,不正請求や業務範囲を逸脱した施術を見逃す危険性が大きいといわざるを得ない。
 そうすると,受領委任払いは,健康保険法上,積極的に容認されて
いるとはいえず,受領
委任払いの取扱いが認められるのはあくまでも特例的な措置といわなければならない。
 イ 柔道整復師に受領委任払いが認められている根拠とあん摩マッサージ指圧師等
 (ア) 柔道整復師に関しては,戦前において整形外科担当の医療機関や医師が不足していたこと,及び骨折等の場合にも医師の診療を受けるより柔道整復師の施術を受ける患者が多かったことなどの理由から,昭和11年から受領委任払いが認められたも
のであり,その後受領委任払い方式によって療養費の支給を受けられる柔道整復師の範囲が拡大したことが認められる。このようにして,被保険者が緊急に治療を受ける機会が確保されたといえる。
 また,骨折,脱臼については,応急手当の場合,医師の同意なく施術できるので,その限りで,医師の代替的な機能も有している。
 この点について,原告らは,医師の同意なく施術できることは実体的要件の問題であるから,請求手続上の問題である受領委任払いとは関係がない旨主張する。

しかしながら,医師の健康保険法における地位に照らすと,柔道整復師が医師の代替的な機能を有していることは意味のあることであり,関係がないとはいえない。
 (イ) ところで,あん摩マッサージ指圧師等は,独自の養成機関を有し,資格を取得するためには国家試験に合格する必要があり,さらに都道府県知事により免許を受ける必要があるのであり,その他,受験資格,免許の登録方法,欠格事由,施術所の届出,構造設備等に関する規制,守秘義務,罰則等に関する法律の規定はいずれも柔道整復師と
共通している。

また,保険者のうち約7割があん摩マッサージ指圧師等に受領委任払いを認めているとこ
ろ,受領委任払いは,被保険者の立場からみれば,療養費の全額をいったん支払わなければならないという不利益を回避できる点で便宜であり,被保険者の療養を受ける機会を増大させる面があることも否定できない。
 ウ 本件取扱いの合理性
 (ア) 上記アのとおり,健康保険法上,療養費の支給自体が例外である上,療養費の支給を現物給付化することは健康保険法の予定していないものであるところ,受領委任払いは,療養費の支給を現物給付化するとともに不正請求や業務範囲を逸脱した施術
を見逃す危険性があるから,健康保険法上,積極的に容認されているとはいえず,受領委任払いの取扱いが認められるのは特例的な措置といわなければならない。したがって,本件取扱いが合理性を有するか否かの判断は,上記前提の下にされるべきであって,単に,柔道整復師に認められているものが,現在あん摩マッサージ指圧師等に認められないことに合理性があるかというだけでは足りないというべきである。
 そこで,このような観点から検討する。上記イ(イ)の事実関係の下において,本件取扱いは,かつては合理性を有していたとしても,その後,整形外科医が増加していることなどがうかがわれる現在,果たしてその合理性があるかについては疑義がないではない。

しかしながら,上記のとおり受領委任払いは特例的措置であるから拡大しない方向で実施ないし運用するのが相当である上,柔道整復師については,正当な理由があって
受領委任払いが認められ,それが長年にわたって継続されてきたという事実があり,限定的とはいえ医師の代替的な機能を果たしていること等を考慮すると,合理性がないとまではいえない。
 (イ) 原告らは,本件取扱いは合理性がない旨主張するが,上記アの健康保険法における療養費支給の趣旨や受領委任払いの意義等を考慮すると,原告らの主張は採
用することができない。
 2 争点(2)について
 (1) 裁量行為と国賠法上の違法
 ア 行政権の行使について当該公務員の裁量が認められる場合は,当該裁量権の濫用,逸脱があった場合に限り,国賠法1条1項にいう「違法」との評価を受けるとい
うべきである。そして,行政権の不行使の違法が問題とされる場合には,裁量行為としての行政権の行使が義務化して,当該公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違反したといえる場合にその違法性が肯定されるところ,裁量権を付与した根拠法規の趣旨,目的を前提として,裁量幅の大小,規制対象たる事物の性質,権限行使に作用する事情など諸般の事情を総合考慮し,権限の不行使が著しく不合理と認められる場合に,裁量権の濫用,逸脱があったものと評価し得るというべきである。
 イ これを本件についてみると,健康保険法87条1項(旧健康保険法44条の2)は,療養費の支給について「療養費を支給することができる」と規定するだけで,その支給方法について何ら規定していないから,具体的にいかなる方法で療養費を支給するか
については,行政庁の合理的な裁量に委ねていると解するのが相当である。
 (2) そこで,本件取扱いが,著しく合理性を欠き,被告国の公務員の裁量権を濫用,逸脱するものといえるかについて検討する。上記1ウのとおり,本件取扱い(保発第4号)は,合理性がないとまではいえないから,憲法14条の平等原則に違反するとはいえない。また,健康保険制度は,被保険者及びその被扶養者の生活の安定を図るための制度であって,施術者の利益を保護するためのものではない。さらに,上記1アのとおり,受領委任払いは,健康保険法上,積極的に容認さ
れているとはいえず,受領委任払いの取扱いが認められるのはあくまでも特例的な措置といわなければならない。

したがって,柔道整復師のように,従来から受領委任払いが認められてきたと
いう沿革のないあん摩マッサージ指圧師等について,新たに受領委任払いを認めることは,困難であると厚生(労働)省の担当者が判断したとしても理由がないとはいえない。
 そうすると,本件取扱いが著しく合理性を欠き,被告国の公務員の裁量権を濫用,逸脱するものとはいえない。
 (3) 以上によれば,被告国の公務員による本件取扱いが違法とはいえないから,被告国は,原告らに対し,損害賠償義務を負わないし,名誉回復措置としての謝罪広告を掲
載する義務もないといわなければならない。
 3 争点(3)について
 不法行為の違法性の判断基準については,被侵害利益の種類・性質と侵害行為の態様との相関関係において考察されるべきものであり,被侵害利益が強固であれば行為の不法性が小さくとも違法性が肯定されるが,被侵害利益が強固でないときは行為の不法性が大きくない限り違法性は肯定されないと解される。
 これを本件についてみると,本件取扱いが合理性がないとはいえず,したがって,平等原則に反するとはいえない上,本件取扱いにより原告らが侵害されたと主張する利益ないし権利も名誉感情及び名誉である。
 そうすると,被告組合らの本件取扱いが違法であって,不法行為を構成す
るとはいえない。
第4 結論
 よって,その余の主張について判断するまでもなく,原告らの請求はいず
れも理由がないからこれらを棄却し,主文のとおり判決する。
    千葉地方裁判所民事第3部
         裁判長裁判官   山   口    博
           裁判官         武   田   美 和 子
           裁判官        向   井   邦 生

(別紙)
                謝 罪 広 告 目 録
 1 本文
  「あん摩マッサージ指圧師,はり師・きゅう師等に関する法律」によるあん摩マッサージ指圧 師,はり師・きゅう師に対する健康保険の取り扱いについて,厚生省は,柔道整復師に対する取り扱いと異なり,患者が一旦全額支払いをしなければならず,かつ療養費の支給については患者が行わなければならないとの取り扱いを指導してきました。これは,柔道整復師との間で差別的に扱うものであり,あん摩マッサージ指圧師,はり師・きゅう師ならびにこれらの施術を利用する被保険者に対し,理由なく,不当な扱いをしたものでした。
 ここに,今後,この扱いを全面的に改善することを約束するとともに,従来の差別的取り扱いについて謝罪します。
 2 条件
   社会面に縦7㎝横5㎝以上の大きさで掲載する。

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身体均整協会について

○身体均整協会について

(昭和四一年九月七日)(医第二〇八七号)

(厚生省医務局総務課長あて佐賀県厚生部長照会)

東京都渋谷区代官山町九番地に本部を置く「身体均整協会」に本県に居住している免許を有する柔道整復師および認定を受けた医療類似行為者等が加入しているが、なかには前記以外の全く無資格の者も加入しています。
先日、たまたま無資格の者が指圧ないしマッサージ的な方法をもって施療しているという情報により、その該当者について調査したところ「身体均整協会」の指導により、「整顔整容法」をなしていると言明しました。
同協会が発行している講習会テキスト「整顔整容法」の内容をつぶさに検討しましたが治療あるいは施療などというような字句は全く見当らず、一概にいえば身体のデザインをよくするという論旨のようであり、したがって、このテキストどおりになすとしたら医療類似行為とは見なされないとも考えられるが、その実態は、訪れてくるほとんどの人が「腰が痛むから」「腰をそらかしたから」「リューマチ」「神経痛で」と、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に施療に行っている人となんら変らず、なお行なっているその方法も指圧ないしマッサージ的方法であります。
以上の事情から左記のことをご教示ください。
1 身体均整協会が主唱している「整顔整容法」という方法は医行為あるいはあん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復業ならびに医療類似行為以外の行為と見なしてよいか。
2 「整顔整容法」が医行為あるいは、あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復業ならびに医療類似行為以外の行為であっても現実に「腰が痛いので」「腰をそらかしたから」「リューマチ」「神経痛」だからといって施療を受けにきたものに、あん摩、マッサージ、指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師ならびに医療類似行為者以外の者が指圧、マッサージ的行為を施すことは医行為あるいはあん摩マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復業ならびに医療類似行為と見なしてよいか。
(昭和四一年九月二六日医事第一○八号)
(佐賀県厚生部長あて厚生省医務局医事課長回答)
昭和四十一年九月七日医第二○八七号で当局総務課長あて照会のあった標記について、次のとおり回答する。
医行為又は医業類似行為(広義とする。)であるか否かはその目的又は対象の如何によるものではなく、その方法又は作用の如何によるものと解すべきである。
照会に係る「整顔整容法」なるものは、貴職の調査結果からは、一応あん摩マッサージ指圧行為であると思料されるが、なお人体に対する作用ないし影響等からみて、医師が行なうのでなければ危害が生ずるおそれがあるものであれば、医行為であるので、更に人体に対する影響等につき十分検討のうえ措置されたい。

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あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師養成施設指導要領について

○あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師養成施設指導要領について

(平成一二年三月三一日)
(健政発第四一二号)
(各都道府県知事あて厚生省健康政策局長通知)
今般、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師に係る学校養成施設指定規則(昭和二六年文部省・厚生省令第二号)の一部改正に伴い、「あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師養成施設指導要領について」(平成元年九月二九日健政発第五二四号厚生省健康政策局長通知)を平成一二年四月一日をもって廃止し、新たに別紙のとおり、「あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師養成施設指導要領」を定め、同日から施行することとしたので、左記の事項に留意し、貴管下の関係機関に対し周知徹底を図られるとともに、よろしく御指導方お願いする。
1 指導要領の施行に際し留意すべき事項
(1) 養成施設を設置しようとする者(生徒の定員を増加しようとする者を含む。)から、設置計画書の提出があった場合、当該計画書の進達に際しては、その計画内容を審査し、当該養成施設の設置に関する貴職の意見を付されたいこと。
なお、国が養成施設を設置しようとする場合は、養成施設を設置しようとする所管大臣の求めに応じ、貴職の意見を当該所管大臣に提出願いたい。
(2) あん摩マッサージ指圧師に係る養成施設の設置計画書の提出があった場合は、次の関係団体等の意見書を添えられたいこと。
ア 次の関係団体に係る都道府県段階の組織
社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会
社団法人 日本あん摩マッサージ指圧師会
社会福祉法人 日本盲人会連合
その他貴職において必要と認めた団体
イ 盲学校(管内に二以上の盲学校がある場合には協議を行ったもの)
(3) 貴職があん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゆう師等に関する法律施行令(平成四年政令第三〇一号。以下「令」という。)第五条第二項の規定による指示を行う必要があると認めた場合は、これを基礎づける資料を添えて、その旨文書で報告されたいこと。
(4) 養成施設の生徒の定員については、学籍簿を審査する等の方法により養成施設の所定の定員が厳守されるよう指導されたいこと。
(5) 認定規則第九条に基づく報告については、遅滞なくかつ確実に行われるよう指導されたいこと。
2 従来の認定規則及び指導要領に比較して改正した事項
(1) 認定規則の改正事項
ア カリキュラムを大綱化し、単位制にしたこと。
イ 学校教育法に基づく大学若しくは高等専門学校、旧大学令に基づく大学又は他の医療関係職種の養成を行う施設として文部大臣の認定を受けた学校又は厚生大臣の認定を受けた養成施設において既に履修した科目については、免除することができることとしたこと。
ウ 複数の教育内容を併せて教授することが教育上適切と認められる場合には、一定の範囲内で、認定規則別表第一の教育内容ごとの単位数によらないことができることとしたこと。
エ あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第一八条の二第一項に定める学校又は養成施設にあっては、当分の間、認定規則別表第一にかかわらず、総合領域を基礎分野、専門基礎分野又は専門分野において取り扱うことができることとしたこと。
(2) 指導要領の改正事項
ア あん摩マッサージ指圧師に係る養成施設以外の養成施設から設置計画書の提出があった場合には、関係団体等の意見書の添付を不要としたこと。
イ 養成施設の設置者及び位置の変更の場合は、新たな養成施設の設置ではなく、認定規則第三条第一項の変更の承認の申請を行うこととしたこと。
ウ 認定規則の一部改正に伴い、教員、生徒、授業、実習に関する事項等について所要の改正を行ったこと。

(別紙)
あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師養成施設指導要領
1 認定についての原則
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和二二年法律第二一七号。以下「法」という。)第二条第一項の規定に基づく認定は、次の養成施設ごとに行うものであり、既存の養成施設が新たな養成施設を設けるときには、教育課程の変更ではなく、新たな認定を行うものであること。
(1) あん摩マッサージ指圧師養成施設
(2) はり師養成施設
(3) きゅう師養成施設
(4) あん摩マッサージ指圧師はり師養成施設
(5) あん摩マッサージ指圧師きゅう師養成施設
(6) はり師きゅう師養成施設
(7) あん摩マッサージ師圧師はり師きゅう師養成施設
2 設置計画書に関する事項
(1) 養成施設を設置しようとする者は、様式1による養成施設設置計画書を、授業開始予定日の一年前までに養成施設の設置予定地の都道府県知事を経由して厚生大臣に提出すること。
(2) 養成施設の学生の定員を増加するため、学則の変更について厚生大臣の承認を受けようとする者は、変更を行おうとする日の一年前までに様式2による定員変更計画書を、当該養成施設の所在地の都道府県知事を経由して、厚生大臣に提出すること。
3 認定の申請等に関する事項
あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゆう師等に関する法律施行令(平成四年政令第三〇一号。以下「令」という。)第一条の認定の申請又は令第三条第一項の変更の承認の申請は、遅くとも授業を開始しようとする日(変更の承認にあっては、変更を行おうとする日)の六か月前までに養成施設の設置予定地(変更の承認に当たっては、所在地)の都道府県知事を経由して厚生大臣に申請すること。
4 設置者に関する事項
設置者は、国及び地方公共団体が設置者である場合のほか、営利を目的としない法人であることを原則とすること。
5 学則に定めることが必要な事項
次に掲げる事項は、必ず学則に規定すること。
(1) 養成施設の名称
(2) 位置
(3) 教育課程(高等学校卒業者等又は中学校卒業者等の別、視覚障害者又は視覚障害者以外の者の別、昼間又は夜間の別及び科目ごとの時間数)
(4) 養成施設の種類及び教育課程ごとの一学年の定員、修業年限及び学級数
(5) 養成施設の休日及び年間必要授業日数
(6) 教職員の職名及び定員並びに専任教員の定員
(7) 入学資格、入学者の選考の方法、入学手続
(8) 進級、卒業、退学及び除籍の基準
(9) 生徒納付金の種類及び金額並びに定められた納付金以外には徴収しない旨の規定
6 教員に関する事項
(1) 認定規則第二条第四項の「専ら学校又は養成施設の管理の任に当たることができる者」とは、他に常勤の職を有する者でないことを意味し、大学の非常勤の講師等との兼務は差し支えないものであること。
また、「あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師の教育又は養成に適当であると認められる者」とは、次の各号に該当する者であること。
ア 医事に関する法令に違反して刑事処分を受けたことのない者であること。
イ 禁こ以上の刑に処せられたことのない者であること。
ウ あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の養成に熱意及び能力を有する者であること。
(2) 認定規則別表第二基礎分野の項に規定する「教授するのに適当と認められる者」とは、次のいずれかに該当する者等をいうこと。
ア 担当科目を含む分野を専攻する大学の教員(助手については、三年以上の勤務経験を有する者に限る。)
イ 担当科目について、教育職員免許法(昭和二四年法律第一四七号)第四条に規定する高等学校の教員の相当教科の免許状を有する者
(3) 認定規則別表第二専門基礎分野の項に規定する「これと同等以上の知識及び経験を有する者」とは、次のいずれかに該当する者等をいうこと。
ア 歯科医師(臨床医学以外の教育内容を教授する場合に限る。)
イ 文部大臣の認定した学校の大学院修士課程又は博士課程を修了した者
ウ 担当科目を含む分野を専攻する大学の教員(助手については、三年以上の勤務経験を有する者に限る。)
エ あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師に係る学校養成施設認定規則の一部を改正する省令(平成元年文部省・厚生省令第四号。以下「改正規則」という。)による改正前の認定規則別表第三に規定するあん摩マッサージ指圧はりきゅう教員養成機関卒業者又ははりきゅう教員養成機関卒業者で改正規則施行の際、現に養成施設において教員として勤務していた者
オ 改正規則による改正前の認定規則別表第三「解剖学 生理学 衛生学(消毒法を含む。) 診察概論 臨床各論」の項第三号に該当する者(改正規則施行の際、現に養成施設において教員として勤務しており、かつ、講習会の受講等によりその資質の向上に努めた者に限る。)
(4) 認定規則別表第二専門分野の項に規定する「これと同等以上の知識及び経験を有する者」とは、次のいずれかに該当する者等をいうこと。
ア (3)のイ又はウに掲げる者
イ 旧認定規則別表第三に規定するあん摩マッサージ指圧師教員、はり師教員又はきゅう師教員(改正規則施行の際、現に養成施設において教員として勤務しており、かつ、講習会の受講等によりその資質の向上に努めた者に限る。)
(5) 専任教員のうち少なくとも二人は、あん摩マッサージ指圧はりきゅうの教育に関し、五年以上の経験を有する者とすること。ただし、平成一一年六月一日現在現に認定を受けている養成施設及び認定規則第二条の規定により主務大臣に対して行われている申請に係る養成施設にあっては、平成一六年五月三一日までの間はこの限りでないこと。
(6) 二以上の養成施設として認定されている場合は、専任教員は(7)の範囲内で、それぞれの専任教員を兼ねることができること。
(7) 一教員の一週間当たりの授業時間数は、一五時間を標準とすること。
(8) 教員の出勤状況が確実に記録されていること。
7 生徒に関する事項
(1) 学則に定められた生徒の定員が遵守されていること。
(2) 入学資格の審査は、卒業証明書又は卒業見込証明書を提出させ確実に行われていること。
(3) 入学者の選考は、筆記試験、面接試験等により適正に行われていること。
(4) 入学の時期について厳正な措置がとられ、かつ、途中入学が行われていないこと。
(5) 転学は、認定施設の相当学年相互の間においてのみ行われていること。
(6) 学生の出席状況が確実に把握されており、とくに出席状況の不良な者については、進級又は卒業を認めないものとすること。
(7) 健康診断の実施、疾病の予防措置等生徒の保健衛生上必要な措置が採られていること。
8 授業に関する事項
(1) 教育の内容は別添のとおりであること。
(2) 単位の計算方法については、一単位の授業科目を四五時間の学修を必要とする内容をもって構成することを標準とし、授業の方法に応じ、当該授業による教育効果、授業時間外に必要な学修等を考慮して、一単位の授業時間数は、講義及び演習については一五時間から三〇時間、実験、実習及び実技については三〇時間から四五時間の範囲で定めること。
(3) 臨床実習については、一単位を四五時間の実習をもって構成すること。
(4) 昼間過程においては、授業は昼間に行うこと。夜間授業は特にやむを得ないと認められる場合に限り行うこと。
(5) 夜間過程においては、夜間(午後六時以降)の授業の時間は一日に四時間以内であること。
(6) 学則に定められていない臨時休校等が行われていないこと。
(7) 教員が欠勤した場合には可能な限り振替授業を行う等、休講の時間が最小限にとどめられていること。
9 実習に関する事項
(1) 一般患者に対する臨床実習の機会を確保し、技術等の向上を図るため、附属の臨床実習施設において臨床実習の教育を行うこと。
(2) 附属の臨床実習施設とは、当該養成施設が教育を目的として設置した施設であって、当該養成施設の教員が直接指導に当たり臨床実習を行う施設をいうこと。
(3) 養成施設以外での臨床実習が行われていないこと。
10 校舎及び備品に関する事項
(1) 図書室を有すること。
(2) 実習室は、水道設備及び給湯施設を有すること。
(3) 基礎医学実習室は、生徒数人を一組として実習を行い得るよう机及び椅子が配置されていること。
(4) あん摩マッサージ指圧師はり師きゅう師養成施設においては、実技実習室を二室以上有すること。
(5) 校舎は、原則として設置者所有のものであること。ただし、賃貸借契約が確実かつ長期にわたるものは差し支えないこと。
(6) 校舎は原則として他の目的に併用されていないこと。
(7) 別表に掲げる器械器具、標本及び模型、図書並びにその他の備品を備えること。
11 財政に関する事項
(1) 養成施設の運営が、財政上健全に行われていること。
(2) 養成施設の経理が養成施設以外の経理と明確に区分されていること。
(3) 入学料、授業料等は適当な額であり、学則で定めた以外の生徒納付金は一切徴収していないこと。
(4) 入学料、授業料等生徒納付金を新設し又は金額を改定する場合は次の事項を記載した経理計画書を新設又は改定しようとする日の遅くとも三か月前までに養成施設の所在地の都道府県知事を経由して厚生大臣に提出すること。
ア 新設又は改定しない場合に予想される翌年度の経理計画書
イ 新設又は改定した場合に予想される翌年度の経理計画書
ウ 新設又は改定しようとする生徒納付金名とその金額
12 事務に関する事項
次に掲げる表簿が備えられ、学籍簿については二〇年間、その他の表簿については五年間保存されていること。
(1) 学則、日課表及び学校日誌
(2) 職員の名簿、履歴書及び出勤簿
(3) 学籍簿、出席簿及び健康診断に関する表簿
(4) 入学者の選考及び在校する者の成績考査に関する表簿
(5) 資産原簿、出納簿及び予算決算に関する表簿
(6) 器械器具、標本及び模型、図書並びにその他の備品の目録
(7) 往復文書処理簿

様式1

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師養成施設設置計画書

1 名称

 

4 連絡者

2 位置

 

氏名

 

3 設置者

法人名

役職名

 

所在地

TEL

 

FAX

 

5 開設予定

(授業開始)

平成  年  月    授業開始

6 種類等

あん摩マッサージ指圧師養成施設

1学年定員 名

卒  年課程

(昼・夜)

はり師・きゅう師養成施設

1学年定員 名

卒  年課程

(昼・夜)

あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師養成施設

1学年定員 名

卒  年課程

(昼・夜)

7 専任教員

免許の種類

氏名

年齢

担当予定科目

免許取得年月

(免許番号)

教員資格

(取得年月・証書番号)

本人の承諾書の有無

施設長の承諾書の有無

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8 建物

土地面積

2

建物面積          m 2

共有部分

あん摩マッサージ指圧師養成部門

はり師・きゅう師養成部門

あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師養成部門

室の名称

面積(m 2 )

室の名称

面積(m 2 )

室の名称

面積(m 2 )

室の名称

面積(m 2 )

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9 臨床実習施設

実習施設の名称

 

面積    m 2

所在地

 

10

設備に要する経費

区分

整備方法

金額

土地

設置者所有・寄付・買収・その他

千円

建物

設置者所有・寄付・買収・その他

千円

設備

千円

合計

千円

11

資金計画

区分

金額

自己資金

千円

借入金

千円

その他(具体的に       )

千円

合計

千円

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平成16年11月04日 004/004] 161 - 参 - 厚生労働委員会 - 2号 社会保障及び労働問題等に関する調査 無資格者対策

○足立信也君 今年十月の介護保険サミット二〇〇四、認定の妥当性に対して、妥当だと、わずか九千人の調査ではありますけれども、妥当だと答えている人は六五%しかいないということを念頭に置いて改革に進んでいただきたいと、そのように考えます。
 次に、続きまして、あんま、マッサージ、指圧、医業類似行為についてです。あんま、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復、カイロプラクティック、整体や足裏マッサージなどの医療の周辺産業です。
 なぜ今回このような質問をするかといいますと、一つには、医療の現場で、病院を受診する前にこういった業者に行き、麻痺や神経障害、骨折を起こす患者さんがいるということです。もう一つは、私の地元の県議会の方から、医業に類似する行為について明確な基準がないので取り締まれないという要望があるからです。
 まず、医業に類似する行為について、判例や厚生労働省の通知に基づいて私が解釈していることを述べます。医業に類似する行為には、法で認められた医業類似行為と、法に規定されていない医業類似行為があって、法で認められた医業類似行為には、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律、略称があはき法です、に基づくあん摩マッサージ指圧、はり、きゅうと柔道整復師法に基づく柔道整復があります。
 もう一つ次に、法に規定されない医業類似行為については、人の健康に害を及ぼすおそれのある業務に限局して禁止処罰の対象になる、このように解釈しておるんですが、これでよろしいでしょうか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) よろしいかと思います。
 あはき法は、一条において、医師以外の者で、あん摩、マッサージ若しくは指圧、はり又はきゅうを業とする者は、それぞれの免許を受けなきゃならないと規定しておりますし、柔道整復師法は十五条において、医師である場合を除き、柔整師でなければ、業としてその柔整を行っちゃならないということを規定しております。
 それから、今のあん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔整以外の医業類似行為についても、あはき法の十二条では禁止されておりますが、ここで禁止されているのは、先生おっしゃったように、人の健康に害を及ぼすおそれのある行為に限られているということでございます。

○足立信也君 今の答弁で、あはき法の第十二条に、何人も、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう以外、医業類似行為を業としてはならないという条文があるけれども、最高裁の判決で、人の健康に害を及ぼすおそれがない場合は職業選択の自由があるのでよろしいということだと思います。それでよろしいかどうか。
 あわせて、あはき法違反者、先ほどの法の違反者に対して実際にどのように規制を行っているか、その点について教えてください。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 昭和三十五年の一月に最高裁の判決が出て、この十二条の禁止というのは、人の健康に害を及ぼすおそれのある行為ということで限られました。
 このような行為が行われている場合、それから取締りでございますが、免許を有さない者があんま、マッサージ、指圧を行っている、このような場合に、各都道府県による衛生規制の観点の指導が行われております。また、警察による捜査、取締りの対象となっているということでございます。
 私ども、各都道府県に対しまして、この医業類似行為に対する取扱い等の通知の発出、それから全国の主管課長会議を通じましてこのあはき法違反等に関する周知徹底を図っているところでございます。

○足立信也君 あはき業、略称のですね、あはき業以外の医業類似行為に関しては、カイロプラクティックについてのみ平成三年に規制事項が定められて医事課長通知という形で出ています。基本的に、それ以外は基準も規制もない状態かと思います。最高裁判決で、健康に害を及ぼすおそれがある場合のみ禁止となったため、行政側も対応に苦慮している状態です。
 害を及ぼすかどうかというものは結果でしか分からないわけで、つまり、医業に類似する行為をまず業として黙認する、人体に害があったら規制する。職業の自由としてはそれでいいかもしれませんが、しかし、無資格の医業類似行為で被害を被った患者さんや、きちんと三年間勉強して国家試験にも合格して、業を営んでいるあはき業の方たちは実際に圧迫を受けているわけです。
 特に、私が今日問題として取り上げたいのは、足裏マッサージとか何々式マッサージという業種です。ある無資格者が行っている行為があはき業なのか、それともあはき業以外の医業類似行為なのか、どのように区別しているのか、その基準を教えてください。
○政府参考人(岩尾總一郎君) もむとか押す、たたく、摩擦するという行為をやるわけですが、どの程度の力を加えるとか、それから置かれているその患者さんの状態にも違うかと思いますが、実は、このあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関する法律では、このあん摩マッサージ指圧業等の定義が置かれておりません。何が法律に規定されたあん摩マッサージ指圧業なのであるか、またそれ以外の医業類似行為なのかというのは、現在まではそれぞれ個々のケースに応じて、社会通念に照らして総合的に判断してきたところでございます。
 御指摘の足裏マッサージなど、マッサージと称することにより、一般人がそこであはき法に言うマッサージ業が行われているものと誤認するおそれがある場合は好ましくないということで、その旨の指導を行うように都道府県にもお願いしてございます。しかし、御指摘の業種が無資格のあはき業に該当するか否かについては、実際に行われている行為の個々具体的な態様により判断されているところでございまして、業態の名称だけで取締りの対象にするというのは困難であるというふうに考えております。
○足立信也君 今、正に基準はないということをおっしゃったわけですね。確かに私は難しいとは思うんですが、このことで地方自治体も非常に頭を悩ませているわけですし、資格を持っている方々からも強い批判が確かにあるんですね。
 で、実際上、全く資格がなくて無資格の方が、自分の行っているのはマッサージではないと、何とか式マッサージなんだから法律上はあはき業ではないんだと主張してしまえば、これもう取締りできないわけですね。
 先ほどおっしゃったのは、多分昭和三十八年の厚生省医務局長の東京都知事あての回答だと思いますが、確かにそこには、あんま、マッサージとは、病的状態の除去、疲労の回復という効果を目的として行われる、もむ、押す、たたく、摩擦するなどの行為の総称であるとされています。だとしたら、足裏マッサージや何々式マッサージという業種は無資格であはき業を行っていると認識できるんじゃないですか。その点についてはいかがでしょう。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 先ほども申し上げましたけれども、そういう何々マッサージ、マッサージという言葉自体はもう一般名詞化しているかと思いますが、そういうようなものに足裏とか何か付けるということで、いわゆる業としてやっているようなものなのか、それともいわゆるあはき業に該当するのか否かというのが、私どもの解釈としては、そこで行われている個々の具体的な行為というものを見ない限り判断できないということで、単なる名前だけではなかなか取り締まれないということを申し上げさせていただきました。
○足立信也君 今のお答えで、多分整理して、こちらが整理しないとなかなかどのようにしていっていいのか難しいというニュアンスの回答だと私は思いますので、言わせていただきます。
 専門の学校に三年間通って卒業して国家試験も通っていると、そういう有資格者と全くの
無資格者が同じように併存している現状では、資格制度そのものが形骸化していると言ってもいいと思うんですね。
 我々民主党は、努力した人が報われる社会を作りたいと、そのように思っています。あはき業の方は多くが視覚障害者です。相当に努力をしてその資格を取った方々だと私は思います。
 あはき業とあはき業以外の医業類似行為を区別する分かりやすい基準を作成して広く国民に伝える、
無資格であはき業を行う者を厳しく取り締まり、有資格者の保護をすべきです。この点が、先ほどどのような方策がいいのか分からないという感じの答弁だったと思います。でも、このことは、専門的知識、技能を有する資格者によって適切、安全なサービスを受けることができるという国民の利益でもあるわけです。その利益を保護することでもあります。
 まず第一に、
無資格者が国民にあたかも資格を持っているように誤認させることを規制しなければいけない。その手段、方法として、現在無資格者が、私はマッサージ師ですと名のることや、自分が仕事をしているところが何々マッサージ、あるいは何々マッサージ所、何々マッサージ施設と勝手に言うことも、マッサージを私はやっています、成人病が治りますよ、生活習慣病を治しますよ、そういう広告をすることもすべて自由なんですね、資格がない人が。
 厚生労働省は、今年の三月、先ほど出ました全国課長会議で、国家資格を持つあはき業者によるあんま、マッサージ、指圧が行われていないのに、マッサージと広告することは看過できないので指導するようにと発言されております。また、資格を持ったあはき業者の広告規制を緩和することについて、もっと広告してもいいようにするために、昨年七月の衆議院の厚生労働委員会で、パブリックコメントを出しているところだと答弁されております。その後、どうなっておりますでしょうか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) このあはきに関する法律の第七条及びこの規定で広告できる事項が制限されているということで、昨今、医療においても広告規制の緩和ですとか、関係団体からも広告規制の緩和についての要望があったということを踏まえまして、昨年の六月に、このあん摩マッサージ指圧業、それから柔道整復業等の広告可能事業の追加についてパブリックコメントを実施いたしました。一般からの御意見というのは昨年の七月に締め切ったんですが、残念ながら広告規制の緩和についてはなお慎重であるべきという趣旨の御意見が多数寄せられたものですから、今日まで、そのような意見があるということで、どのように対応すべきかということを慎重に検討している状況でございます。

○足立信也君 パブリックコメント、それは業者の方からの回答がということで理解してよろしいんですか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) インターネットの回答でございますので、回答する際には相手に対して職種までを求めていなかったかと思いますが、電子メール、それからファクシミリ、郵送ということで、あっ、済みません、意見の提出は、個人の場合は住所、氏名、年齢、職業、法人の場合は法人名、所在地ということでございますので、いろいろな方から来ていると思いますが、ちょっと今詳細には内容は把握しておりません。
○足立信也君 自分の行っている業の広告規制をどうしたらいいかという問題を、その業者の方々に特に集中的には出していないということですね。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 一応、パブリックコメントということで通常の手続でやっておりますので、特定の団体の意見ということではございません。
○足立信也君 慎重であるべきだという意見が多かったと。これは、その母体がどういうことにあるか、また、この業者の方々が先ほど言いましたように視覚障害者が半分近くを占めて、全体としては非常に少ない、それに対してパブリックコメントが慎重であるべきだというのは、ある意味予測された回答といいますか、そのような気がします。
 それよりも、今の問題はあはき業者が広告できる内容を広げたらどうかということなんですが、私が言っているのは、それよりも必要なことは、
無資格者への広告内容の規制だと思うんですね。そのことで、昨年十一月に医政局の医事課長から、痛みを感じるほどの強さで人体に危害を及ぼす、又はおそれのある行為があはき業だと、そのように誤解されるような、今までの解釈とは違う解釈の意味の回答がされております。また、今年三月には、先ほど言いました、あんま、マッサージ、指圧が行われていないのにマッサージと広告することは看過できないと、こういう、基準が行ったり来たりなんですね。ですから、実際に地方の方でも取締りができないということになっているんだと思います。現実は、足裏マッサージや何々式マッサージという看板は乱立しております。
 まず行うべきこと。繰り返しになりますが、あはき業の定義を明確にすること、国家資格を持ったこの独占業務を保護すること、
無資格者があたかも国家資格を持ってマッサージを行っていると国民が誤認しないようにすることです。そのためには、先ほども言いました、無資格者が資格の名称を勝手に使うことは禁止しなきゃいけない、それから場所も何々マッサージ所とかいう名称を使うことはやはり禁止しなければいけないと思います。そして、そのようなマッサージ師という名前や場所の名称を禁止しても、私はやっていますよと、マッサージをやっています、ちゃんと治していますよということを言っては何の意味がないわけですから、独占業務であるあんま、マッサージ、指圧を無資格者が行う旨の表示を行う、その表示を行うことそのものも禁止しなければいけないと私は思います。繰り返しになりますけれども、これはやはり国民の利益を保護することになると。専門的知識、技能を有する資格者による適切、安全なサービスということなんですね。
 私が今順番を追って挙げましたが、そのような規制、あるいはこれは立法というふうになっていくかもしれませんが、国家資格を持った独占業務を保護すること、この考え方について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○副大臣(西博義君) 先ほどからの議論のまとめのような形の御答弁になるかと思いますが、お答えを申し上げたいと思います。
 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律、いわゆるあはき法第一条においては、医師以外の者で、あんま、マッサージ若しくは指圧、はり又はきゅうを業としようとする者は、あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許又はきゅう師免許を受けなければならないと、これが規定をされております。
 あはき法上、これらの定義を定める規定はないというふうに先ほど局長からも答弁申し上げましたが、特定の、もむだとかたたく等の行為があはき法第一条に規定するあんま、マッサージ又は指圧に該当するか否かということにつきましては、当該行為の具体的な態様から総合的に判断されるべきものであるために、一般的にそれを類型化したり、また定義を明確にとことん突き詰めるということは大変困難であるというふうに考えております。
 無資格者についての御指摘の点につきましては、マッサージという既に普及した、言わば一般名詞の使用を特定の資格だけに許すということについての逆に影響があるのではないか。また、もむ、たたくなどの行為にあっても、人体に危害のない範囲であれば法律違反とはならない、これも先ほど判例がございましたが、そのような一般的な業務を行うことの表示を禁止することが合理的であるんだろうかというような点を十分に今後考慮していく必要があると、こういうように考えております。
○足立信也君 まとめられてもちょっと困るようなところがあるんですが、一つ今お伺いした中で、今までの通知、判例の中で、人体に被害というものの中に痛みを伴うようなというのがございまして、今挙げられた無資格者が行っている行為は大体痛みがあるんですね。これは今までの解釈では通用しない部分があるということを、一つ抜けているんではないかということを感じましたし、やはり国家資格ですから、国家資格を持って業を行う方が、無資格者がやっているのと似たようなことをやられていながらも、簡単に言い逃れできると。このことは、非常に失礼な言い方かもしれませんが、弱い立場の人で視覚障害者が多い業種、そのことをやっぱり守っていかなければいけないんではないかと。
 その点に関しては、国家資格を持った独占業務を保護するという観点では先ほどお答えの中に入っていなかったと思います。その二点について、更にお答えください。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 先生御指摘のように、このあはき業は、業務は独占しておりますけれども名称は独占しておりませんし、それから定義もございません。こういう法律の中で、私どもが、そのときの局長通知ですとかそれから最高裁の判例などを踏まえて、現在まで最大限、このような免許を持っている方々の業を法律上保護しながら様々な解釈なり運用をしてきたということでございますので、先生おっしゃいますように、やはり視覚障害者にとっての最大の職場だろうと思いますので、今後そのような先生の御意見を踏まえながら、この先どのようにしたら免許取得者が保護されるのか、無資格者との区別ができるのかということは、もう少し検討させていただければというふうに思っております。
○足立信也君 分かりました。
 私は、もっと積極的に、あはき業以外の医業類似行為についても、その効果、副作用あるいは危険性などについてちゃんと評価をして、得られた情報を関係者、国民に広く伝える、業者への指導監督をすべきだと私は思います。国民の生命と健康を守り、資格制度の形骸化を防ぐためにも、以上のような対策を早急に積極的にやっていただきたいと、そのように思います。
   〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕
 時間がもうありませんので、まだ質問事項あるんですけれども、ちょっと要望というか、注意喚起みたいな形に終わってしまうかもしれませんが、少しお聞きください。
 卒後臨床研修の必修化によって、研修医を指導する医師の確保という観点から、それにまた、国立大学の独立行政法人化によって、医師の派遣先の選定に、もっと採算性のいい、高い施設を優先するようになりました。そのことによって、地域の中核病院、特に公立病院で小児科医、産婦人科医、麻酔医が不足した、あるいは全くいなくなったという事態が現在生じております。今日はその中でも、時間がありませんので、麻酔医についてちょっと御説明いたします。
 麻酔は麻酔医が掛けるということが今もう医師あるいは患者さんの間でも浸透しております。ところが現状は、先ほど言いましたように、地域の中核病院から麻酔の常勤医がいなくなりました。そのため、それらの病院は大学へ麻酔医の派遣要請を行っております。麻酔医側は、例えば関東地区では協定があるので、手術のうち、麻酔料の七五%を出さないといけないというふうに回答が多くございます。麻酔料の要求が高くて、一時代前のように、今外科医が麻酔を掛ける病院が多くなっております。以上のような独占的な協定がなされていると、このような実態がございます。
 このことは今後また私も問題にしていきたいと思うんですが、現実は、卒後臨床研修の必修化、それと国立大学の独立行政法人化が相まってそのような事態になっているという注意を喚起して、私の質問を終わらせたいと思います。
 どうもありがとうございました。

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はり、きゅう及びあんま・マッサージに係る療養費の支給の取扱いについて保険発第八四号

○はり、きゅう及びあんま・マッサージに係る療養費の支給の取扱いについて

(平成八年五月二四日)(保険発第八四号)

(各都道府県民生主管部(局)保険主管課(部)長・国民健康保険主管課(部)長あて厚生省保険局医療課長通知)

はり、きゅう及びあんま・マッサージに係る療養費の支給については、本日付け保発第六四号をもって厚生省保険局長から都道府県知事あて通知されたところであるが、これが実施に伴う留意事項等は、次のとおりであるので、その取扱いに遺憾のないよう、関係者に対し周知徹底を図られたい。
一 はり及びきゅうの施術に係る医師の同意書又は診断書について
今般、はり及びきゅうに係る施術の療養費の支給対象となる疾病の類症疾患として頚椎捻挫後遺症を加えたことに伴い、平成四年五月二二日付保険発第七五号により示したはり及びきゅうの施術に係る医師の同意書及び診断書をそれぞれ別紙一及び別紙二のとおり改めるので円滑な実施を図られたい。
なお、はり、きゅう及びあんま・マッサージの施術に係る診断書の交付を患者から医師が求められた場合は、円滑に交付されるよう御指導願いたい。
二 〔略〕

別紙1

同意書 (はり及びきゅう療養費用)

患者

住所

 

 

氏名

 

 

 

生年月日

 

 

明治

大正      年  月  日

昭和

平成

 

 

病名

 

 

1 神経痛

2 リウマチ

3 頚腕症候群

4 五十肩

5 腰痛症

6 頚椎捻挫後遺症

発病年月日

            年  月  日

初診年月日

            年  月  日

 

 上記の者診断の結果、頭書の疾病により鍼灸の施術に同意する。

    年  月  日

保険医療機関名          

所在地          

保険医氏名        (印)

 

別紙2

診断書

(はり及びきゅう療養費用)

患者

住所

 

 

氏名

 

 

 

生年月日

 

 

明治

大正      年  月  日

昭和

平成

 

 

病名

 

 

1 神経痛

2 リウマチ

3 頚腕症候群

4 五十肩

5 腰痛症

6 頚椎捻挫後遺症

症状

(主訴を含む。)

 

 

 

 

発病年月日

            年  月  日

     年  月  日

 保険医療機関名          

所在地          

保険医氏名        (印)

 

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柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について

○柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について

(平成九年四月一七日)
(保険発第五七号)
(各都道府県民生主管部(局)保険・国民健康保険主管課(部)長あて厚生省保険局医療課長通知)
柔道整復師の施術に係る療養費の算定及び審査の適正を図るため、今般、算定基準の実施上の留意事項等に関する既通知及び疑義等を整理し、別紙のとおり定め、本年五月一日より適用することとしたので、貴管下の関係者に柔道整復師を対象とする講習会の開催等を通じ周知徹底を図るとともに、その取扱いに遺漏のないよう御配慮願いたい。

別紙
柔道整復師の施術に係る算定基準の実施上の留意事項
第一 通則
1 療養費の支給対象となる柔道整復師の施術は、柔道整復師法(昭和四五年四月一四日法律第一九号)に違反するものであってはならないこと。
2 脱臼又は骨折(不全骨折を含む。以下第一において同じ。)に対する施術については、医師の同意を得たものでなければならないこと。また、応急手当をする場合はこの限りではないが、応急手当後の施術は医師の同意が必要であること。
3 医師の同意は個々の患者が医師から得てもよく、又施術者が直接医師から得てもよいが、いずれの場合であっても医師の同意は患者を診察した上で書面又は口頭により与えられることを要すること。なお、実際に医師から施術につき同意を得た旨が施術録に記載してあることが認められれば、必ずしも医師の同意書の添付を要しないこと。
また、施術につき同意を求める医師は、必ずしも整形外科、外科等を標榜する医師に限らないものであること。
4 現に医師が診療中の骨折又は脱臼については、当該医師の同意が得られている場合のほかは、施術を行ってはならないこと。ただし、応急手当をする場合はこの限りでないこと。
この場合、同意を求めることとしている医師は、原則として当該負傷について診療を担当している医師とするが、当該医師の同意を求めることができないやむを得ない事由がある場合には、この限りではないこと。
なお、この場合における当該骨折又は脱臼に対する施術料は、医師が整復又は固定を行っている場合は整復料又は固定料は算定せず、初検料、後療料等により算定すること。
5 療養費の支給対象となる負傷は、急性又は亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲及び捻挫であり、内科的原因による疾患は含まれないこと。なお、急性又は亜急性の介達外力による筋、腱の断裂(いわゆる肉ばなれをいい、挫傷を伴う場合もある。)については、第五の3の(5)により算定して差し支えないこと。
6 単なる肩こり、筋肉疲労に対する施術は、療養費の支給対象外であること。
7 柔道整復の治療を完了して単にあんま(指圧及びマッサージを含む。)のみの治療を必要とする患者に対する施術は支給対象としないこと。
8 既に保険医療機関での受診又は他の施術所での施術を受けた患者及び受傷後日数を経過して受療する患者に対する施術については、現に整復、固定又は施療を必要とする場合に限り初検料、整復料、固定料又は施療料を算定できること。なお、整復、固定又は施療の必要がない場合は、初検料、後療料等により算定すること。
9 保険医療機関に入院中の患者の後療を医師から依頼された場合の施術は、当該保険医療機関に往療した場合、患者が施術所に出向いてきた場合のいずれであっても、支給対象としないこと。
10 骨折、脱臼、打撲及び捻挫に対する施術料は、膏薬、湿布薬等を使用した場合の薬剤料、材料代等を含むものであること。
11 患者の希望により後療において新しい包帯を使用した場合は、療養費の支給対象とならないので、患者の負担とするもやむを得ないものであること。なお、その際、患者が当該材料の使用を希望する旨の申出書を患者から徴するとともに、徴収額を施術録に記載しておくこと。
12 柔道整復師宅に滞在して手当てを受けた場合に要した食費、寝具費、室代等は支給対象としないこと。
第二 初検料
1 患者の負傷が治癒した後、同一月内に新たに発生した負傷に対し施術を行った場合の初検料は算定できること。
2 現に施術継続中に他の負傷が発生して初検を行った場合は、それらの負傷に係る初検料は合わせて一回とし、一回目の初検のときに算定するものであること。
3 同一の施術所において同一の患者に二以上の負傷により同時に初検を行った場合であっても、初検料は一回とすること。この場合、施術者が複数であっても、初検料は合わせて一回のみとすること。
4 患者が任意に施術を中止し、一月以上経過した後、再び同一の施術所において施術を受けた場合には、その施術が同一負傷に対するものであっても、当該施術は初検として取り扱うこと。
なお、この場合の一月の期間の計算は暦月によること。すなわち、二月一〇日~三月九日、七月一日~七月三一日、九月一五日~一〇月一四日等であること。
5 同一の患者について、自費施術途中に受領委任の取扱いができることとなった場合は、同一の負傷に関するものである限り、その切り替え時の施術について初検料は算定できないこと。その際、施術録及び支給申請書の「摘要」欄に「〇月〇日自費初検、〇月〇日健保被保険者資格取得」等の記載をしておくこと。
なお、保険種別に変更があった場合も同様とすること。その際、施術録及び支給申請書の「摘要」欄に「〇月〇日初検、〇月〇日保険種別変更による健保被保険者資格取得」等の記載をしておくこと。
6 患者が異和を訴え施術を求めた場合で、初検の結果何ら負傷と認むべき徴候のない場合は、初検料のみ算定できること。
7 時間外加算及び深夜加算の取扱いについては、以下によること。
(1) 休日加算と時間外加算又は深夜加算との重複算定は認められないこと。
(2) 時間外加算又は深夜加算は、初検が時間外又は深夜に開始された場合に認められるものであるが、施術所においてやむを得ない事情以外の都合により時間外又は深夜に施術が開始された場合は算定できないこと。
(3) 各都道府県の施術所における施術時間の実態、患者の受療上の便宜等を考慮して一定の時間以外の時間をもって時間外として取り扱うこととし、その標準は、概ね午前八時前と午後六時以降(土曜日の場合は、午前八時前と正午以降)及び休日加算の対象となる休日以外の日を終日休術日とする施術所における当該休術日とすること。
(4) 施術時間外でも実態上施術応需の体制をとっているならば、時間外加算は認められないこと。
(5) 深夜加算は、深夜時間帯(午後一〇時から午前六時までの間をいう。ただし、当該施術所の表示する施術時間が深夜時間帯にまで及んでいる場合は、深夜時間帯のうち当該表示する施術時間と重複していない時間をいう。)を施術時間としていない施術所において、緊急やむを得ない理由により受療した患者について算定すること。したがって、常態として又は臨時に当該深夜時間帯を施術時間としている施術所に受療した患者の場合は該当しないこと。
(6) 施術所は、施術時間をわかりやすい場所に表示すること。
8 休日加算の取扱いについては、以下によること。
(1) 休日加算の算定の対象となる休日とは、日曜日及び国民の祝日に関する法律(昭和二三年法律第一七八号)第三条に規定する休日をいうものであること。なお、一二月二九日から一月三日まで(ただし一月一日を除く。)は、年末・年始における地域医療の確保という見地から休日として取扱って差し支えないこと。
(2) 休日加算は、当該休日を休術日とする施術所に、又は当該休日を施術日としている施術所の施術時間以外の時間に、緊急やむを得ない理由により受療した患者の場合に算定できるものとすること。したがって、当該休日を常態として又は臨時に施術日としている施術所の施術時間内に受療した患者の場合は該当しないものであること。
(3) 施術所の表示する休日に往療した場合は、往療料に対する休日加算は算定できないこと。
第三 往療料
1 往療は、往療の必要がある場合に限り行うものであること。
2 往療料は、下肢の骨折又は不全骨折、股間節脱臼、腰部捻挫等による歩行困難等真に安静を必要とするやむを得ない理由により患家の求めに応じて患家に赴き施術を行った場合に算定できるものであり、単に患者の希望のみにより又は定期的若しくは計画的に患家に赴いて施術を行った場合には算定できないこと。
3 二戸以上の患家に対して引き続き往療を行った場合の往療順位第二位以下の患家に対する往療距離の計算は、柔道整復師の所在地を起点とせず、それぞれ先順位の患家の所在地を起点とするものであること。ただし、先順位の患家から次順位の患家へ行く途中で、その施術所を経由するときは、第二患家への往療距離は、その施術所からの距離で計算すること。
この場合、往療距離の計算は、最短距離となるように計算すること。
4 往療の距離は施術所の所在地と患家の直線距離によって算定すること。
5 片道一六kmを超える往療については、当該施術所からの往療を必要とする絶対的な理由がある場合に認められるものであるが、かかる理由がなく、患家の希望により一六kmを超える往療をした場合の往療料は、全額患者負担とすること。
6 同一家屋内の二人目以降の患者を施術した場合の往療料は、別々に算定できないこと。
7 難路加算における難路とは、常識で判断されるもので、第三者に納得され得る程度のものでなければならないこと。
8 暴風雨雪加算における暴風雨又は暴風雪とは、気象警報の発せられているものに限られ、気象警報の発せられない場合は原則として認められないこと。
9 夜間加算については、以下によること。
(1) 夜間の取扱いについては、おおむね午後六時から翌日の午前六時まで、又は、午後七時から翌日午前七時までのように、一二時間を標準として各都道府県において統一的に取扱うこと。
(2) 後療往療の場合は算定できないこと。
10 往療に要した交通費については、患家の負担とすること。往療時に要したバス、タクシー、鉄道、船等の交通費は、その実費とすること。自転車、スクーター等の場合は、土地の慣例、当事者間の合議によるべきであるが、通例は交通費に該当しないこと。
第四 再検料
1 再検料は、初検料を算定する初検の日後最初の後療の日のみ算定できるものであり、二回目以降の後療においては算定できないこと。
2 医師から後療を依頼された患者、既に保険医療機関での受診又は他の施術所での施術を受けた患者及び受傷後日数を経過して受療する患者の場合は、初検料を算定した初検の日後最初の後療の日に算定できること。
第五 その他の施術料
1 骨折の部・不全骨折の部
(1) 肋骨骨折における施術料金は、左右側それぞれを一部位として所定料金により算定するものであること。
(2) 指・趾骨の骨折における施術料は、骨折の存する指・趾一指(趾)を単位として所定料金により算定し、指・趾骨の不全骨折における施術料金は、一手又は一足を単位とし所定料金により算定するものであること。
(3) 関節近接部位の骨折又は不全骨折の場合、同時に生じた当該関節の捻挫に対する施術料金は骨折又は不全骨折に対する所定料金のみにより算定すること。
(4) 膝蓋骨骨折の後療については、特に医師から依頼があった場合に限り算定できるものであること。
この場合の料金は初検料と骨折の後療料等により算定することとし、支給申請書の「摘要」欄に後療を依頼した医師又は医療機関名を付記すること。
(5) 頭蓋骨骨折又は不全骨折、脊椎骨折又は不全骨折、胸骨骨折その他の単純ならざる骨折又は不全骨折については原則として算定できないが、特に医師から後療を依頼された場合に限り算定できるものであること。その場合は、支給申請書の摘要欄に後療を依頼した医師又は医療機関名を付記すること。
(6) 肋骨骨折にて喀血し、又は皮下気泡を触知する場合、負傷により特に神経障害を伴う場合、観血手術を必要とする場合、臓器出血を認め又はその疑いのある場合には、必ず医師の診療を受けさせるようにすること。
(7) 近接部位の算定方法については、第五の4の(1)を参照すること。
2 脱臼の部
(1) 指・趾関節脱臼における施術料金は、脱臼の存する指・趾一指(趾)を単位として所定料金により算定するものであること。
(2) 先天性股関節脱臼等の疾病は、支給対象としないこと。
(3) 顎関節脱臼は左右各一部位として算定して差し支えないが、同時に生じた同側の顔面部打撲に対する施術料金は、脱臼に対する所定料金のみにより算定すること。
(4) 近接部位の算定方法については、第五の4の(1)を参照すること。
3 打撲・捻挫の部
(1) 打撲・捻挫の施術が初検の日から三月を超えて継続する場合は、負傷部位、症状及び施術の継続が必要な理由を明らかにした別紙様式1による長期施術継続理由書を支給申請書に添付すること。
なお、同様式を支給申請書の裏面に印刷及びスタンプ等により調製し、又は、「摘要」欄に長期施術継続理由を記載して差し支えないこと。
(2) 指・趾の打撲・捻挫における施術料は、一手又は一足を単位として所定料金により算定するものであること。
(3) 打撲の部においては、顔面部、胸部、背部(肩部を含む。)及び殿部は左右合わせて一部位として算定すること。
(4) 肩甲部打撲は、背部打撲として取扱うものであること。なお、肩甲部打撲の名称を使用しても差し支えないが、肩甲部及び背部の二部位として取扱うものではないこと。
(5) 筋又は腱の断裂(いわゆる肉ばなれをいい、挫傷を伴う場合もある。)については、打撲の部の所定料金により算定して差し支えないこと。
算定に当たっては、以下によること。
ア 支給の対象は、介達外力による筋、腱の断裂(いわゆる肉ばなれ)であって柔道整復師の業務の範囲内のものとすること。
なお、打撲及び捻挫と区分する必要があることから、支給申請書に記載する負傷名は挫傷として差し支えないこと。
イ 算定部位は次のものに限ること。
(ア) 胸部挫傷
胸部を走行する筋の負傷であって、肋間筋、胸筋等の損傷であるもの
(イ) 背部挫傷
背部を走行する筋の負傷であって、広背筋、僧帽筋等の損傷であるもの
(ウ) 上腕部挫傷
上腕部を走行する筋の負傷であって、上腕二頭筋、上腕三頭筋等、肩関節と肘関節の間の損傷であるもの
(エ) 前腕部挫傷
上腕部を走行する筋の負傷であって、円回内筋、手根屈筋、腕橈骨筋等、肘関節と手関節との間の損傷であるもの
(オ) 大腿部挫傷
大腿部を走行する筋の負傷であって、大腿四頭筋、内転筋、大腿二頭筋等、股関節と膝関節の間の損傷であるもの
(カ) 下腿部挫傷
下腿部を走行する筋の負傷であって、腓腹筋、ヒラメ筋、脛骨筋等、膝関節と足関節の間の損傷であるもの
ウ 胸部及び背部は、左右合わせて一部位として算定すること。
(6) 近接部位の算定方法については、第五の4の(1)を参照すること。
4 その他の事項
(1) 近接部位の算定方法
ア 頚部、腰部又は肩関節のうちいずれか二部位の捻挫と同時に生じた背部打撲(肩部を含む。)又は挫傷に対する施術料は、捻挫に対する所定料金のみにより算定すること。
イ 左右の肩関節捻挫と同時に生じた頚部捻挫又は背部打撲に対する施術料は、左右の肩関節捻挫に対する所定料金のみにより算定すること。
ウ 顎関節の捻挫は、捻挫の部の料金をもって左右各一部位として算定して差し支えないが、同時に生じた同側の顔面部打撲に対する施術料は、捻挫に対する所定料金のみにより算定すること。
エ 指・趾骨の骨折又は脱臼と同時に生じた不全骨折、捻挫又は打撲に対する施術料は、骨折又は脱臼に対する所定料金のみにより算定すること。
オ 関節近接部位の骨折の場合、同時に生じた当該骨折の部位に最も近い関節の捻挫に対する施術料は、骨折に対する所定料金のみにより算定すること。
また、関節捻挫と同時に生じた当該関節近接部位の打撲又は挫傷に対する施術料は、別にその所定料金を算定することなく、捻挫に対する所定料金のみにより算定すること。この場合の近接部位とは、次の場合を除き、当該捻挫の部位から上下二関節までの範囲のものであること。
① 手関節捻挫と前腕部打撲又は挫傷(上部に限る。)
② 肘関節捻挫と前腕部打撲又は挫傷(下部に限る。)
③ 肘関節捻挫と上腕部打撲又は挫傷(上部に限る。)
④ 肩関節捻挫と上腕部打撲又は挫傷(下部に限る。)
⑤ 足関節捻挫と下腿部打撲又は挫傷(上部に限る。)
⑥ 膝関節捻挫と下腿部打撲又は挫傷(下部に限る。)
⑦ 膝関節捻挫と大腿部打撲又は挫傷(上部に限る。)
⑧ 股関節捻挫と大腿部打撲又は挫傷(下部に限る。)
(注) 上部、下部とは、部位を概ね上部、幹部、下部に三等分した場合のものであること。
なお、当該負傷の施術継続中に発生した同一部位又は近接部位の負傷に係る施術料は、当該負傷と同時に生じた負傷の場合と同様の取扱いとすること。
カ 近接部位の算定例は次のとおりであること。
① 算定できない近接部位の負傷例(骨折・不全骨折の場合)

骨折・不全骨折の種類
算定できない近接部位の負傷例
1 鎖骨骨折
肩部の打撲、肩関節捻挫
2 肋骨骨折
同側の一~一二肋骨の骨折

同側の胸部打撲又は挫傷
同側の背部打撲又は挫傷
3 上腕骨骨折(上部)
肩部打撲、肩関節捻挫
4 上腕骨骨折(下部)
肘部打撲、肘関節捻挫
5 前腕骨骨折(上部)
肘部打撲、肘関節捻挫
6 前腕骨骨折(下部)
手関節捻挫、手根・中手部打撲
7 手根骨骨折
手関節捻挫、中手部打撲、中手指関節捻挫
8 中手骨骨折
中手骨一~五個々の骨折

手関節捻挫、手根部打撲、中手指関節捻挫
指部打撲、指関節捻挫
9 指骨骨折
手根・中手部打撲、中手指関節捻挫指部打撲、指関節捻挫
10 大腿骨骨折(上部)
殿部打撲、股関節捻挫
11 大腿骨骨折(下部)
膝部打撲、膝関節捻挫
12 下腿骨骨折(上部)
膝部打撲、膝関節捻挫
13 下腿骨骨折(下部)
足根部打撲、足関節捻挫
14 足根骨骨折
足関節捻挫、中足部打撲、中足趾関節捻挫
15 中足骨骨折
中足骨一~五個々の骨折

足関節捻挫、足根部打撲
中足趾・趾関節捻挫、趾部打撲
16 趾骨骨折
足根・中足部打撲、中足趾関節捻挫趾部打撲、趾関節捻挫

② 算定できない近接部位の負傷例(脱臼・打撲・捻挫・挫傷の場合)

脱臼・打撲・捻挫・挫傷の種類
算定できない近接部位の負傷例
1 頚部捻挫
肩峰より内側の肩部打撲
2 肩関節脱臼・捻挫
上腕上部又は幹部の打撲又は挫傷
3 肘関節脱臼・捻挫
上腕下部又は幹部の打撲又は挫傷

前腕上部又は幹部の打撲又は挫傷
4 手関節脱臼・捻挫
前腕下部又は幹部の打撲又は挫傷

手根・中手部打撲
5 中手指・指関節脱臼・捻挫
手根・中手部打撲、指部打撲、指関節捻挫
6 背部打撲又は挫傷
同側の胸部打撲又は挫傷
7 腰部打撲
殿部打撲
8 股関節脱臼・捻挫
大腿上部又は幹部の打撲又は挫傷

同側の殿部打撲
9 膝関節脱臼・捻挫
大腿下部又は幹部の打撲又は挫傷

下腿上部又は幹部の打撲又は挫傷
10 足関節脱臼・捻挫
下腿下部又は幹部の打撲又は挫傷

足根・中足部打撲
11 中足趾・趾関節脱臼・捻挫
足根・中足部打撲、趾部打撲、趾関節捻挫

③ 算定可能な部位の負傷例(骨折・不全骨折の場合)

骨折・不全骨折の種類
算定可能な部位の負傷例
1 鎖骨骨折
頚部捻挫

上腕部打撲又は挫傷
2 肋骨骨折
左右の肋骨骨折

左右反対側の胸部・背部打撲又は挫傷
3 上腕骨骨折(上部)
肘部打撲・肘関節捻挫
4 上腕骨骨折(下部)
肩関節捻挫・肩部打撲
5 前腕骨骨折(上部)
手関節捻挫・手部打撲
6 前腕骨骨折(下部)
肘関節捻挫・肘部打撲
7 手根骨骨折
前腕部打撲又は挫傷、指関節捻挫・指部打撲
8 中手骨骨折
前腕部打撲又は挫傷
9 指骨骨折
一指単位の算定、手関節捻挫
10 大腿骨骨折(上部)
膝部打撲、膝関節捻挫、腰部打撲・捻挫
11 大腿骨骨折(下部)
腰殿部打撲、股関節捻挫、下腿部打撲又は挫傷
12 下腿骨骨折(上部)
大腿部打撲又は挫傷、足関節捻挫
13 下腿骨骨折(下部)
膝部打撲、膝関節捻挫、中足部打撲
14 足根骨骨折
下腿部打撲又は挫傷、趾関節捻挫、趾部打撲
15 中足骨骨折
下腿部打撲又は挫傷
16 趾骨骨折
一趾単位で算定、足関節捻挫

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