昭和22年12月05日衆 - 厚生委員会 - 37号 あん摩、はり、きゆう、柔道整復等營業法案政府より提案理由の説明
昭和22年12月05日
○小野委員長 御異議なしと認めまして、さよう決します。まず船員保險法の一部を改正する法律案及びあん摩、はり、きゆう、柔道整復等營業法案の二法律案につきまして政府より提案理由の説明を求めます。
○金光政府委員 ただいま議題となりましたあん摩、はり、きゆう、柔道整復等營業法案について、その提案の理由を説明いたします。あんま、はり、きゆう、柔道整復及び醫業類以行為に關する現行の法規でありますところの、明治四十四年内務省令第十號按摩術營業取締規則、明治四十四年内務省令第十一號鍼術灸術營業取締規則、昭和二十一年厚生省令第四十七號柔道整復術營業取締規則、昭和二十一年厚生省令第二十八號按摩術營業取締規則、鍼灸術營業取締規則及び柔道整復術營業取締規則の特例に關する省令、及び昭和二十二年厚生省令第十一號醫業類似行為ををなすことを業とする者の取締に關する省令は、何れも昭和二十二年法律第七十二號日本國憲法施行の際現に效力を有する命令の規定の效力等に關する法律第一條の規定によつて、本年十二月末日限りその效力を失いますので、右省令に代えて、あんま、はり、きゆう、柔道整復等の營業に關する法律を制定する必要があるのであります。これがこの法律案を提出する理由であります。以下この法律案の内容の大略を申し上げますと。
まづ第一にこれらの施術を業として行おうとする者は、必ず都道府縣知事の免許を受けなければならないこととし、かつ免許は公認の學校または養成施設を卒業した上、都道府縣知事の行う試驗に合格した者でなければ與えられないこととしております。これはいやしくも人體の疾病、健康に關する業務は、一定の學術技能を修めた者でなければこれを行い得ないものとすることが、保健衞生上絶對に必要であるからでありまして、從來とも同樣の免許制度をとつてまいつたのでありますが、この際免許を受ける資格の程度を從來よるも相當引上げまして、これらの者の素質の向上をはかることといたしたのであります。
第二に免許は一定の缺格條件に該當する者に對しては、これを與えないことといたしております。すなわち精神病にかかつている者には免許を與えないこととし、また傅染性疾患にかかつている者もしくは業務に關し、犯罪もしくは不正の行為があつた者等であつて、業務を行うに適しない者に對しては、同樣に免許を與えないこととして、直接間設に施術の内容及びこれらの者の素質の向上をはかつております。
第三に業務に關する規定としまして、これらの者は、外科手術、藥品の投與指示等の行為をしてはならないことを規定し、また、あんま師及び柔道整復師について一定の業務上の制限を付しております。また業務に關する廣告についても一定の制限を付しております。なお都道府縣知事は衞生上の必要に基いて、業務に關する必要な指示をなし、または施術者から必要な報告を提出させ、その他當該吏員に施術所の檢査をさせる等の措置をなし得ることとし、その業務の監督指導に遺憾なきを期しております。
第四にあんま、はり、きゆう等と異なり從來中央の法令においては、それ自體として正式に取上げられることなく、あるいは國民醫療法により取締りあるいは都道府縣令に基いて届出制度等により、適宜取ずりを行つておりましたいわゆる醫業類似行為ないし療術行為は、醫療衞生上種々の幣害も考えられますのみならず、在置の根據も乏しいと考へられますので、今後新規には一切認められないこととし、これを業として行うことはできないことといたしたのであります。
第五に關係業者、醫師、學識經驗者からなる諮問委員會を中央、地方に設けまして、學校養成施設の認定、その他業務上の指導監督につきまして、これを民主的に運營し、その適切妥當を期するため、重要な事項を調査審議させることといたしております。
以上が本案の骨子でありますが、なお從來これらの業務を行つておりました者の既得權とでも申すべきものを保護する等のための經過的措置としまして、從來の規則によつて免許を得た者についてはそのままこれを認め、また免許を得る資格のあつた者、または外地においてこれらの業務を行つていた者であつて、内地に引揚げた者等の免許に對しては、それぞれ一定の例外措置をなすこととしております。なお從來一定期間以上いわゆる醫業類似行為を業としていた者であつて、本法施行後必要な届出をした者は、本法施行後も一定期間内はその業務を行い得ることとし、これに對しては業務及び廣告の制限並びに衞生上の指示檢査等の監督指導、その他業務の停止禁止等の處置をなし得ることとしております。何とぞ御審議の上、可決せられるよう希望いたします。
次にただいま議題となりました船員保險法中改正法律案の提案理由を御説明申し上げます。
本改正法律案の趣旨は、船員保險法の改正によりまして、すなわち船員保險制度の中において、船員に對する失業保險ないし失業手當金制度を創設實施せんとする點にあるのでありまして、その目的が、船員が失業いたしました場合に、失業保險金または失業手當金を支給いたしまして、その生活の安定をはかるとともに、その運營にあたりまして、職業紹介機關と密接な連絡を保持することにより、失業船員に對しまして能う限り就職の機會を與えようとする點にありますことは、さきに本國會の御審議を經ました陸上勞働者に對する失業保險法及び失業手當法の目的とまつたく同樣であります。これを失業保險法、失業手當法から引き離しまして、本改正法律案により、船員保險制度の中に織り込んで實施いたしますのは、船員が海上勞務者として陸上勞働者と異なる特殊な勞働事情を有しており、船員保險制度は、かかる事情のもとにあり船員に對する總合的な、唯一の保險制度として從來實施運營され來つている點に鑑み、むしろその中に失業保險、失業手當の制度をも織り込むことの方が便宜ではないかと考えたからであります。
改正案の内容すなわち制度の内容につきましては、できるだけ陸上勞働者に對する失業保險ないし失業手當制度の内容に準じて立案いたしました。その概要を申し上げますと、
一、まず失業保險制度につきましては、(一)受給の要件といたしましては、改正法實施後六箇月以上船員保險の被保險者すなわち船員であつたこと及び離職後定期的に船員職業紹介または公共職業安定所に出頭して失業の認定を受けること。(二)支給日數は離職後一年の受給期間中において通算して百八十日。(三)支給日額は標準報酬日額の百分の八十ないし百分の四十の範圍内で定めた低額所得者には高率の、高額所得者には低率の額。(四)支給の方法は原則として一週間に一囘あて船員職業紹介所、公共職業安定所または都道府縣廳において支給することといたしました。(五)なお受給者が船員職業紹介所または公共職業安定所が紹介した適當な職につくことを、正常の理由なく拒んだ場合は、支給の制限をなし得ることとして、本制度が單なる失業救濟に終らざるよう留意いたしました。(六)次に本事業運營に要する費用につきましては、被保險者たる船員及び船員を使用する船舶所有者は、それぞれ毎月標準報酬月額の千分の十一に相當する保險料を負擔するとともに、國庫においては保險給付に要する費用の三分の一及び事務費を負擔することといたしました。なお本改正案におきましては、失業保險のみならず、船員保險全體の保險料を掲げました。
二、第二に失業手當制度につきましては、(一)受給の要件といたしましては、改正法實施後昭和二十三年四月三十日までに離職し、離職當時引續き六箇月以上船員であつたこと、及び離職後定期的に船員職業紹介所または公共職業安定所に出頭して、失業の認定を受けること。(二)支給日數は離職後一の受給期間中において通算して百二十日。(三)支給日額は標準報酬日額の百分の七十五ないし百分の三十五の範圍内で定めた低額所得者には高率の、高額所得者には低率の額、(四)支給の方法は失業保險金の場合と同樣、原則として一週間に一囘ずつ船袋職業紹介所、公共職業安定所または都道府縣廳において支給することといたしました。(五)また受給者が、職業紹介機關が紹介した適當な職につくことを正當の理由なく拒んだ場合には、失業保險金の場合と同樣の理由で失業手當金を支給しないことといたしました。(六)次に失業手當金支給に關する出費につきましては、國庫において全額負擔することといたしました。
三、以上申し上げましたほか、失業保險ないし失業手當制度實施に必要な船舶所有者または被保險者もしくは保險給付を受ける者に對する負擔規定、必要な罰則の改正等をいたしました。
以上改正法律案の大要を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ御審議の上可決あらんことを御願い申し上げる次第であります。
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